米国金利が上昇しているうちはAGGよりも外貨建MMFの方が有利っぽい

モメンタムに注目し、その時に一番イケてるETFに乗り換えていくGEMという投資法を実践中です。

少し前まではVOO(S&P500への連動を目指すETF)が優勢でしたが、昨今の株価下落によってAGG(債券ETF)の方が優勢になりつつあります。

このままいけば「AGGに乗り換えればいいじゃん」となるのですが、先日、金利上昇局面では外貨建MMFの方がAGGよりも有利という記事を見かけました。

参考:ところぐ。 – 利上げ局面では、BNDやAGGよりも外貨建てMMFに投資すべき!その理由を解説!

米国では来年も利上げの予定となっているので、「VOOからの乗り換え先はもしかしたらAGGよりも外貨建MMFの方が良いのでは…」と思い、少し調べてみました。

金利上昇局面でAGGより外貨建MMFが有利な理由

利上げ局面でAGGよりも外貨建MMFが有利な理由を理解するには、まずAGGと外貨建MMFの性質の違いを知っておく必要があります。

  • AGG…中長期債券を中心とした運用。株価のように値動きがあり元本割れの可能性もある
  • 外貨建MMF…短期債券を中心とした運用。預金に近い感じで外貨建てでの元本割れリスクはほぼ0

どちらも債券を裏付資産としていることに違いはありませんが、その残存期間に大きな違いがあります。

AGGは下の図を見ると分かるように、残存年数が数年~数十年の資産を中心に構成されています。

一方の外貨建MMF(ここでは米ドルMMFの1つであるブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド)はというと、投資方針に「ポートフォリオは、60日以下の加重平均満期および120日以下の加重平均残存年限を維持することを目標とし、発行時の満期または残存期間が397日以下の証券のみに投資します。 」と書かれており、残存年数が1年未満の資産が中心であることが分かります。

ドルの金利が上昇したら…

さて、目先でドルの金利が上昇した場合を考えてみましょう。

AGGは中長期債券が中心となっていますから、目先で金利が上昇したところでその恩恵はほぼ受けられません。

それどころか相対的に中長期債券の利回りが低下するわけですから、AGGの基準価額は下落します。

つまり、金利上昇→AGG値下がり となります。

一方で外貨建(米ドル建)MMFは短期商品を中心とした構成になっていますから、利上げの影響が比較的すぐに反映されて利回りが上昇します。

基準価額といった概念は無い(※)ようなので値上がり益みたいなものは得られませんが、単純に利回りが上昇して分配金が増加します。

※私の認識が正しければ。

ドルの金利が低下したら…

逆にドルの金利が低下した場合は先ほどと逆の動きになります。

AGGでは、長期債券の方が高利回りになってくるわけですから需要が増えて基準価額が上昇します。

つまり、金利低下→AGG値上がり となります。

外貨建(米ドル建)MMFは値下がりのようなことは起きませんが、金利低下に伴って利回りが低下します。

金利上昇局面ではAGGの値下がりと外貨建MMFの利回り上昇を考慮する必要あり

まとめると以下のようになります。

金利上昇局面では、AGGの基準価額が下落する上に外貨建MMFの利回りが上昇してくるため、AGGより外貨建MMFが有利になる。

ただし、分配金利回りは基本的にAGGの方が外貨建MMFよりも高いので、AGGの基準価額下落が予想される金利上昇局面以外ではAGGを持っていた方が良さそうです。

  • 金利上昇局面…外貨建MMF
  • 金利横ばい…AGG
  • 金利下落局面…AGG

といった感じでしょうかね。

米国の政策金利とAGGの基準価額を比較

理屈を長々と書いてきましたが、政策金利とAGGの基準価額を並べてみれば理屈が正しいかどうかはすぐに分かります。

※AGGの基準価額はYahoo! Financeから、米国の政策金利は「ほったらかし投資の達人 – アメリカ政策金利の推移と長期データのダウンロード方法」および外為どっとコムから取得しました。

グラフにしてみると、確かに金利上昇局面ではAGGの基準価額が下落傾向にあります。

2004年~2006年、2015年~ の利上げでそれが見て取れます。

そして、2006年~2008年辺りを見ると分かるように、利上げが終わった辺りからはAGGの基準価額が上昇に転じています(2008年の一時的な急落はリーマンショックによるもの)。

どうやら理屈通りの値動きをしていると言って良さそうです。

2018年12月のFOMC

直近のFOMCでは、今後も引き続き利上げの見通しであることが明らかになりました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は18-19日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25-2.50%のレンジへ引き上げた。2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から、2回に減少した。

出典:ブルームバーグ(2018年12月20日)

つまり、まだ金利上昇局面に位置していますので、AGGよりも外貨建MMFにドルを預けておいた方が無難そうです。

次回のFOMC会合は1月29-30日の予定です。

最後に

FOMCは金利の引き締め休止が近づいている可能性を示唆していますから、外貨建MMFよりもAGGが有利になる時期も近いとは思います。

それでも、少しでも堅実な運用を目指すなら、外貨建MMFの検討をしてみる価値はあるでしょう。

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