インヴィンシブル投資法人【8963】が分配金の予想修正や新投資口発行等を発表…今後どうなる?

私も保有しているインヴィンシブル投資法人【8963】が、本日7月17日にプレスリリースを連発してきました。

投資口価格に対するプラス要因とマイナス要因とが混在しておりよく分からなくなってしまったため、この記事を書きながら頭の中を整理していこうと思います。

素人考えですので、もし間違っている部分がありましたらご指摘いただけると助かります。

参考:インヴィンシブル投資法人 プレスリリースのページ

7月17日に発表されたことの内容

本日発表された内容は以下の7種類です。

  1. 国内ホテル4物件に係る不動産信託受益権の取得
  2. 優先交渉権に係る覚書の変更
  3. 投資方針の変更
  4. 海外不動産を裏付資産とする匿名組合出資持分の取得
  5. 資金の借入れ
  6. 新投資口発行及び投資口売出し
  7. 2018年6月期と2018年12月期の運用状況及び分配金の予想の修正

本日開示された内容には大きく2つの流れがあります。

1つは国内ホテル4物件の取得、そしてもう1つが投資方針の変更です。

国内ホテル4物件の取得に伴い、

・資金の借り入れと新投資口発行
・予想の修正
・優先交渉権に係る覚書の変更

が行われました。

また、投資方針の変更(海外不動産にもとうしできるようにする)により、海外不動産を裏付資産として匿名組合出資持分を取得することとなりました。

ここでも資金が必要ですから資金の借り入れと新投資口発行が必要となります。

また、業績も変わってくるので予想の修正へとつながります。

それでは個別に各資料を見ていきましょう。

国内ホテル4物件に係る不動産信託受益権の取得

ホテルマイステイズ プレミア赤坂をはじめ、優先交渉権を持っていた4物件を取得が決まりました。

物件の良し悪しは判断できないのでここでは触れません。

優先交渉権に係る覚書の変更

今回取得した4物件はいずれも優先交渉権を持っていた物件です。

それらの物件は取得したので覚書から削除されます。

また、それとは別に6物件が覚書に追加されました。いずれもホテル物件です。

投資方針の変更

ポートフォリオ分散の一環としてコアアセットに海外ホテルを加えるとのことです。

長期的に見ると、今日発表された中では一番影響力が大きい項目ではないかと私は思います。

個人的にはきっちり収益を上げられるなら物件の場所は国内でも国外でも構いません。

国内で物件の種類(ホテル、住居、商業施設、等)を変えるよりも、国外の物件を保有した方がポートフォリオの分散効果は高そうです。特に地震大国日本においては…。

もちろん、商習慣や法律などが国内とは勝手が違うでしょうからリスクもそれなりにあるでしょう。

「日本の物件だけを扱うリートがいい」という方はこれを機に売却をするという判断もありだと思います。

海外不動産を裏付資産とする匿名組合出資持分の取得

以前から投資方針を変更して海外不動産にも手を出すことは、内々では決まっていたのでしょう。

さっそく海外不動産匿名組合出資持分を取得するという発表がありました。

主な理由として、

・想定NOI利回りが高い(9.2%)
・裏付不動産も良い物件である
・収益の季節変動が既存物件と逆の動きをするため、全体で見た時の収益変動が緩和できる

といったことが挙げられています。

資金の借入れ

国内4物件と海外不動産匿名組合出資持分を取得するには資金が必要ですから借り入れを行います。

今回、約405億円を借り入れることで有利子負債が16%ほど増加します。

金利は妥当なラインなのではないかと思います。

新投資口発行及び投資口売出し

資金調達のために、借り入れだけではなく955,000口の新投資口発行も行います。

払込金額がいくらになるかは未定ですが、2018年7月25日~30日の間に決まるようです。そして決まった日(発行価格等決定日)の終値に0.9~1.0を乗じた価格が発行価格になります。

仮に発行価格等決定日の終値が50,000円だったとしたら、

50,000円 × 955,000口 = 477.5億円 となります。

ざっくり見て銀行からの借り入れと同額程度を新投資口発行により調達する見通しのようです。

また、2018年6月期末の発行済投資口数は4,793,181口ですので約20%の増資となります。

単純に考えれば1口あたりの価値は83%程度になりますので、増資の影響で投資口価格が17%ほど下落してもおかしくはありません(ただし今回は分配金等の予想修正もあるのでそう単純でもありません)

2018年6月期と2018年12月期の運用状況及び分配金の予想の修正

まず結果だけを拾っていくと、

・2018年6月期…増益・増配
・2018年12月期…増益・増配

となっています。

これだけ見て「わーい!」と言っておしまいにしてもアレですので、もう少し詳しく見ていきます。

まず2018年6月期です。

2018年6月期は「アルモニー御茶ノ水」等の不動産等売却益の約12億円(営業収益の10%くらい)が乗っかっています。

そして、当期純利益の10%ほどを内部留保した残りが分配されます。

2018年6月期は特に変わりない感じの分配金となっています。

続いて2018年12月期です。

こっちはけっこう厄介です。

・増資により1口当たり利益および分配金が大幅に減ってしまう
・今回の国内4物件の取得は8月の予定であるため、7月分の利益がまだ乗ってこない
・海外不動産匿名組合出資持分の受取分配金は初回の分配が2019年6月期中になるため、2018年12月期には乗ってこない

といったマイナス要因があるため、単純に計算すると分配金は前回予想を下回ってしまいます。

一方、インヴィンシブル投資法人は「中期的な分配金の安定性を維持することが最も重要な要素のひとつである」と考えているので、投資口の希薄化等で一時的に1口当たり分配金が減少することを良しとしていません。

そこで利益超過分配が登場してくるわけです。

これにより減配とはならず、むしろ2018年12月期も増配の予想となっているわけです。

利益超過分配金については別記事を書きました。
利益超過分配金って何?良いの?悪いの?しないといけないことはある?

2019年の分配金はどうなる?

さて、2018年12月期までは増益・増配なのは分かりましたが、その後はどうなるのでしょうか。

まさか2019年も利益超過分配を行うわけにはいかないでしょうから、きっちりと利益を出していかなければなりません。

ここで役立つのが「平準化1口当たり分配金」です。

平準化1口当たり分配金を簡単に言うと、2018年に行った取り組み(国内4物件や海外不動産匿名組合出資持分の取得、増資等)をすべて2018年6月期期初前に行っていたと仮定した場合の分配金です。

実はこの平準化1口当たり分配金、2018年の分配金を決めるために利用されています。

ですので、今後なにもしないまま2019年を終えれば、2018年と同額程度の年間分配金になると思われます(もちろん投資口総数の増加も踏まえた上で)。

ましてやインヴィンシブル投資法人は「中期的な分配金の安定性を維持することが最も重要な要素のひとつである」とまで言っていますす。

アクシデントがない限りは、1口当たり分配金は2019年も維持あるいは増加していくのではないでしょうか。

投資口価格が下がったら買いでしょう!

増資で投資口価格の希薄化があるとはいえ、企業の研究開発等とは異なり、増資の効果がすぐに利益につながるのが不動産投資のすごいところです。

今回取得した物件等の想定NOIから適当に計算してみたところ、先ほどの平準化1口当たり分配金と近い数字が出ました。

おそらく2019年以降もきっちり分配金を出してくれることでしょう。

というわけで、今回の諸々を受けてもし投資口価格が下落したら、ありがたく買い増ししていきたいと思います。

分配金は増えるので下がる可能性は低い気もしますが…。

(追記)

下げたので買い増ししました。

7月25日:発行価格が45,776円に決定

7月25日の終値46,950円に対してディスカウント率2.50%で計算し、発行価格が45,776円に決まりました。

申込期間は7月26日~27日の2日間です。

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