FPG【7148】は「買い」なのか。株価や業績、配当金、今後の見通しなどから考える

FPGはリースアレンジメント事業を主軸とした金融商品を提供している企業です。

分類上は証券・商品先物取引業となっていますが、事業内容からして一般的な証券会社のイメージとはずいぶん異なっています。

株価は2018年初頭にピークをつけてその後は下落基調です。

しかし業績は依然として好調で、にもかかわらず配当利回りは高めとなっており気になったので調べてみました。

結果、「不景気になった際にどこまで業績が悪化するかは不透明だが、そのリスクを考慮しても配当金狙いで買う価値はありそう」という結論に至り、少しずつ買い集めることにしました。

※コロナショックでズタボロになったので、以下の内容は役に立たないと思います(業績予想の修正や優待の変更も更新していませんのでご注意ください)

業績・年間配当・配当性向の推移

売上高
(億円)
営業利益
(億円)
年間配当
(円/株)
配当性向
’10/9 16 8 2.3 30%
’11/9 19 10 2.6 30.9%
’12/9 28 14 4.1 34.6%
’13/9 40 20 5.4 35.1%
’14/9 62 34 8.67 36%
’15/9 153 100 24.5 36.3%
’16/9 188 118 35.5 42.2%
’17/9 210 134 45.8 43%
’18/9 220 130 49.25 49.4%
’19/9 265 144 53 46.9%
’20/9
(予)
243 140 60.1 52.7%

売上・利益ともに順調に伸ばしてきており、それに伴い増配も繰り返しています。

2018年9月期では増益がストップしてしまったものの、2019年9月期では再び増益となっています。

なお、配当性向も上昇傾向にあります。

注目すべきは高い利益率でしょう。営業利益率は50%を余裕で超えています。

なぜなら、FPGは成長性・収益性の高い市場を重点的にターゲットにしているからです。

この方針は今後も継続していくものと思われます。

配当と株主優待について

配当

もともと株主還元については積極的だったようですが、2018年10月にDOE(株主資本配当率)を株主還元政策の指標として採用し、DOE15%以上を目指すといった趣旨の発表がありました。

参考:新たな株主還元政策の枠組みの導入と配当方針の変更に関するお知らせ

現状の配当性向は50%程度ですから、単純に考えて当期利益が半分程度まで落ち込むようなことがない限りは配当総額を維持できるはずです。

ところで、FPGはどうしてここまで株主還元に積極的なのでしょうか

その答えの一つは株主の構成にあると言えそうです。

2018年9月30日現在、FPGの筆頭株主はHTホールディングス株式会社で保有割合は26.94%です。

また、FPGの創業者かつ社長の谷村尚永氏の保有割合は2.44%となっています。

HTホールディングスは谷村尚永氏が代表を務める資産管理会社(Tanimura Hisanaga の頭文字を取ってHT?)ですので、実質的には同氏が30%近い株式を保有していることになります。

そりゃまぁ、会社から自分に利益を渡したいですよね

FPGの発行済株式総数は約9000万株ですので、その3割としたら2700万株になります。

1株あたりの配当金を50円で計算すると…1年で十数億円の配当金を受け取れることになります。

役員報酬は退職してしまえば貰えなくなりますが、配当は株式を持っていて会社が存続する限りは受け取れます。

しかも、引退後に株主還元を消極的にするのは業績悪化が顕著でもない限り厳しいでしょう。

現役のうちに盤石な株主還元体制を築き上げているように思えます。

したがって、私は今後も積極的な株主還元が継続されるものと考えています。

ただし、有報の【事業等のリスク】にもあるように、社長の谷村尚永氏は

オペレーティング・リース事業案件の組成・販売に関する豊富な経験と知識や、取引先、投資家等各分野にわたる人脈を有しており、また、経営方針や事業戦略等の立案及び決定を始め、当社グループの事業推進の中心的役割を担っていることから、当社グループにおける同氏への依存度は高い

のが現状です。

この点は頭に入れておきたいところです。

FPGの権利確定日は9月末の年1回です。

今年は2019年9月26日が権利付最終日(その日に株を持っていれば権利が貰える日)となっています。

なお、配当を受け取れるのは12月終盤でしょうか。

FPGのサイトに「12月後半に開催される定時株主総会の翌営業日より配当手続きが開始」と書かれており、2019年の定時株主総会は12月20日が開催予定日となっています。

そのため、少なくとも12月23日以降になるのは確かです。

株主優待

FPGは株主優待を実施しています。

優待内容はギフトカードなのでそこそこ汎用性が高くていいですね。

5000株までは投資額と優待内容がある程度比例するようになっています。

また、継続保有によってグレードが上がっていきます。

優待利回りを株価1,200円で計算すると、

  • 保有期間1年未満…0.167%
  • 1年以上2年未満…0.25%
  • 2年以上3年未満…0.333%
  • 3年以上…0.416%

となります。

最低ラインが500株(株価1,200円なら60万円)である点には要注意です。

事業内容について

リースアレンジメント事業

FPGの利益の9割以上はこのリースアレンジメント事業から生まれています。

ですので、FPGの事業内容を理解するためにはリースアレンジメント事業を理解しなければなりません。

リース…簡単に言えば機械や設備の長期的な賃貸取引のこと。FPGの場合、主に航空機やコンテナ、船舶を扱う。リースアレンジメント…リース取引に関わるプレイヤー(借り手、貸し手、設備等の生産者、融資者などなど)それぞれにメリットを提供できるような枠組みを作り上げること。

FPGはリース案件を組成・管理し、投資家へ匿名組合出資持分・信託受益権の販売を行うことで手数料等の収益を得ています。

リースアレンジメント事業の概略図(出典:第13期株主通信)

もう少し具体的に取引の流れを追ってみます(参考:有価証券報告書)。

  1. 入札や個別交渉によって航空会社等の賃借人からリース事業を受注
  2. 賃借人が要求するリース条件、金融機関からの借入条件、投資家への販売予定額等の諸条件を総合的に勘案し、子会社(SPC)において、オペレーティングリース事業の案件を組成
  3. 投資家に対してSPCの匿名組合出資持分の販売を行う
  4. リース期間中、賃借人から定期的にリース料がSPC支払われ、投資家は出資割合に応じた事業損益の分配を受ける
  5. リース期間満了後、リース物件の売却、借入金の返済等を行い、残余財産を投資家に分配する

ざっくりとこんな感じの流れになっています。

この仕組みが上手く回るのは、各プレイヤーにメリットがあるからです。

それぞれのメリットも確認しておきましょう。

プレイヤー メリット
賃借人 航空機等を購入せず済むので運用コスト・リスクを抑えられる
メーカー 航空機等が売れる
金融機関 資金の貸出しにより利息を得られる
投資家 課税の繰り延べ効果を得られる
FPG(含SPC) アレンジメントフィーや匿名組合出資持分の販売手数料などが得られる

このほか、FPGは金融機関や会計事務所等と業務提携をすることで、

  • FPGは顧客(投資家)を紹介してもらえる
  • 金融機関や会計事務所は紹介料を受け取れる

といった関係も構築されています。

オペレーティングリース案件では発生した減価償却費(損失)を投資家が受け取ることができるため、初期は大きな損失を得ることができます。

一方、最後には物件売却代金が入ってくることで投資額を回収できる仕組みになっています(この時点で大きな利益が発生)。

この課税繰り延べスキームは、直近で利益が出過ぎて困っている(税額を減らしたい)投資家にとっては好都合なのです。

課税繰り延べの仕組み(出典:第13期株主通信)

この辺りの内容については、「オペレーティングリース 節税」などのキーワードで検索すると詳しいサイトが出てきます。

また、BSやPLの科目を踏まえた解説としては「FPGのビジネスモデルを会計面から解き明かす」が参考になります。

多角化事業

リースアレンジメント事業以外の事業がここに含まれます。

リースアレンジメント事業で培ったノウハウと販売チャネルを活用し、保険・不動産・M&Aなどに関する商品を販売しています。

今後の見通し

今後も主力のリースアレンジ事業や多角化事業を伸ばしていくほか、新たな高収益事業の開発に向けた取り組みもスタートしているようです。

決算説明資料にあるイメージ通りに進むならそれに越したことはありませんね。

FPGの利益の大部分を担うリースアレンジメント事業は社会的信用と専門知識が必要で参入障壁は高そうです。

したがって、他社との競争激化による業績悪化はあまり心配いらないように思います。

一方、リースの賃借人となる航空業・海運業の設備投資動向や、投資家となる中小企業・富裕層の投資意欲は景気に大きく左右されそうです。

業績が悪化した際の程度が未知数な点は配当金狙いで投資する際の不安要素ではありますが、投資額をある程度抑えておけば大丈夫かなとも思っています。

株価の推移

2015年に株価が大きく伸びた後、上下しながらも堅調に推移しているように見えます。

ただし、昨年後半からは地合いの悪さもあってか下落傾向です。

ここから再び上昇に向かうのか、それともしばらくは停滞するのか…といった感じです。

売買の履歴

約定日 売買 取得単価 保有株数
19/01/16 1,158円 100
19/01/18 1,202円 200
19/02/01 1,070円 400
19/03/12 1,021円 500
19/06/20 879円 600
19/07/30 960円 700
19/08/01 996.8円 1000
20/01/06 1042円 1200
20/01/27 1026円 1300
20/01/28 1035円 1400
20/02/3 971円 1500
20/02/28 856円 1600
20/03/9 758円 1700
20/03/13 628円 1800
20/03/17 579円 1900
20/04/30 514円 2100

…2020年7月31日現在、1300株まで売却しました。8月3日にもう300株売却し、1000株にする予定です。

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コメント

  1. 匿名 より:

    年末に高配当銘柄で購入しました。
    配当が1年に1回しかないので楽しみが他の銘柄の半分です(笑)

    • ぽてっと より:

      年1回配当だと確かに楽しみは半分ですね。
      いい時に買えたようでうらやましい!

  2. ポルサリーニョ より:

    今から買おうとおもいます