トラリピをはじめとするリピート系のFX自動売買システムを利用したときの利回りは、10%程度という人もいれば50%いったという人まで様々です。
しかし、短期間での利回りは値動きの大きさや為替の方向性次第でぶれやすいため参考になりません。
また、想定していたレンジから外れた時は売買に関係ないポジションを持ち続けることになりますから、証拠金を増やさねばならず利回りは低下します。
そこで、ある程度条件を限定した上で複数パターンの利回りを算出してみました。
同じような条件でリピート系FX自動売買をしたいと考えている方にとっては参考になるかと思います。
前提条件
- トラリピのようなリピート系のFX自動売買システムを想定
- 扱う通貨ペアは米ドル円
- 1ドル120円からのスタートとする
- 0.1円間隔、1ロット1000通貨での買い注文設定(※1)
- 平均ポジション量は15,000通貨(※2)
- 売買益は10,000円/月(※2)
※1
注文の間隔や1ロットの通貨量を変えることで自分の資金に合った予想収益額が見積もれます。
※2
実際に同じような条件でトラリピを運用したときの結果に基づいた数値です。
予想利回りは高め
ドル円の買いトラリピのみなので、収益源は売買益とスワップポイントになります。
売買益に関わるポジションは現在のレート付近のポジションだけなので、為替がどう動いてもだいたい一定の売買益になります。
一方、スワップポイントはポジション量に応じて多くなります。
しかしポジション量が多いということは抱えている含み損も大きいということなので、必要な資金(含み損+証拠金)も大きくなります。
上記の事情を踏まえた上で、1ドル120円の時からポジションを作り始めて現在のレートが120~80円となっている場合での利回りを算出しました。
その時に保有しているポジション量は決済までの利益幅によって変化しますが、売買益やスワップの金額も前提とは異なる場合が多いです。
ですので、利回りはあくまで傾向や目安を把握するために使ってください。
さて、まずドル円を買いの方向で自動売買していった場合、開始時点よりも円安に向かったときは基本的に含み損がほぼ無い状態で推移していくことになります。
そのため必要資金が少なくて済み、利回りも高くなるのでリスク管理の上ではあまり検討する必要はありません。
逆に円高に向かったときは含み損が増えて利回りが低下するので、こちらを重点的に検討すべきでしょう。
今回の前提の場合、1ドル80円にまで円高になったとしても、資金さえしっかりと用意していれば10%以上の高い利回りが期待できるという結果になりました。
必要資金が増える一方、売買益は一定なので必要資金あたりの売買益は低下しますが、買いポジションが増えることによって受け取れるスワップポイントが増加するためです。
これだったら、最悪の事態(1ドル80円とか70円とか)でもカバーできるくらいの資金が確保できそうな規模でトラリピか何かをやっておけば、かなりの高利回りで運用できる上にロスカットになる心配もありません。
しかし、スワップポイントが低くなると…
先ほどのシミュレーションではスワップポイントを60円/(日・1万通貨)で計算していました。現状では妥当な数値です。
しかし、今後スワップポイントが小さくなっていったらどうでしょうか。
実際、2015年までは米国の政策金利は0.25%でしたので、当時のスワップポイントは微々たるものだったと思われます。
スワップポイントは通貨ペアの両国の金利差がもとになっています。
日本の金利を0.1%、米国の金利を0.25%として計算すると、スワップポイントは3.3円/(日・1万通貨)程度まで小さくなるのです。
もしスワップポイントが3円になってしまったと仮定して同様にシミュレーションをしてみると、利回りは以下のようになります。
スワップが60円の場合と比べると利回りはだいぶ低下してしまいますね。
しかも、米国金利とドル円は連動しやすい傾向があります。
- 米国金利が上がる→ドルが買われる→円安ドル高
- 米国金利が下がる→ドルが売られる→円高ドル安
つまり、円高で含み損たっぷりな状態の時はスワップが安くなっている可能性が高いのです。
どの程度の利回りを求めるかにもよりますが、多額の資金を低利回り運用せざるをえない状態にしてしまう可能性があることは知っておいた方が良いでしょう。
最後に
リピート系のFX自動売買は、相場が大きく動かなければそれなりの利回りが期待できます。
一方で、為替が都合の悪い方に動いた時は必要資金が増える上に利回りも低下します。
その点をよく理解した上でのポジション形成が重要です。