トヨタ自動車は言わずと知れた大手自動車メーカーです。
予想配当利回りが3%を超えてきており、利回りだけ見れば配当狙いでの購入も視野に入ってくるころ合いです。
しかし、トヨタ自動車は景気循環の影響を強く受けるシクリカル銘柄(景気敏感株)です。
景気後退の気配もあるこのタイミングでの購入はかなり慎重に検討した方が良さそうです。
業績・年間配当・配当性向の推移
期 | 売上高 (兆円) |
営業利益 (兆円) |
年間配当 (円/株) |
配当性向 |
---|---|---|---|---|
’09/3 | 20 | -0.4 | 100 | ― |
’10/3 | 18 | 0.1 | 45 | 67.4 |
’11/3 | 18 | 0.4 | 50 | 38.4 |
’12/3 | 18 | 0.3 | 50 | 55.6 |
’13/3 | 22 | 1.3 | 90 | 29.6 |
’14/3 | 25 | 2.2 | 165 | 28.7 |
’15/3 | 27 | 2.7 | 200 | 29 |
’16/3 | 28 | 2.8 | 210 | 28.3 |
’17/3 | 27 | 1.9 | 210 | 34.6 |
’18/3 | 29 | 2.3 | 220 | 26.1 |
’19/3 (予) |
29 | 2.4 | 220 | ― |
長い目で見ると業績は伸びてきていますが、リーマンショックやチャイナショックのタイミングでは業績が悪化しています。
自動車産業が景気の影響を大きく受けることが見て取れますね。
また、リーマンショック級の出来事があると減配も容赦なく実行されます。
配当政策については公式サイトに以下のような記述がありました。
配当金については、毎期の業績・投資計画・手元資金の状況等を勘案しながら、普通株式については連結配当性向30%を目安に安定的・継続的に配当を行うよう努めていきます。
減配は断固避けたいという意志は特にないようですが、2017年3月期は配当性向を30%超として減配を避けています。多少の減益くらいであれば減配にはならないと考えて良さそうです。
一方で、景気悪化により業績が落ち込めば配当も減りますから、どちらかというと世界の景気を読み間違えないことが重要に思えます。
株価の推移
過去20年の株価を見てみます。
不況時には株価低迷、景気が良くなれば株価上昇、を繰り返しており、まさに景気循環株といった感じです。
長期的に見れば業績とともに株価も伸びてきているように思えます。
さて、このような景気(業績、株価)の変動を踏まえると、現在の配当利回り3%強はどう考えれば良いのでしょうか。
過去の期末時点での配当利回りと見比べてみます。
※1 株価が左軸、配当利回りが右軸
※2 最後のみ10月末の数値
2009年辺りが顕著ですが、株価がピークを過ぎた後に配当利回りがピークを迎えていることが分かります。
トヨタ自動車の場合、配当利回りは3.5%までいけば高い方と言えます。
現在の配当利回りがその辺りに近づいているということは、今後は業績が悪化することを見越して株が売られ、株価が下がっているという可能性が考えられます。
一方で、2016年くらいの軽微な業績悪化であれば「株価は下落するものの配当維持」で結果的に買い時だったということになります。
結局のところ、今後大きな景気後退が始まると思うかどうかで判断は変わってくるのでしょう。
個人的には今のタイミングで手を出すのはちょっと怖いです。
今後の見通し
トヨタ自動車の2018年度の決算短信では、2019年3月期の見通しについて以下のように書かれています。
今後の自動車市場については、先進国では安定的に推移、新興国では景気回復などを背景に緩やかな拡大が期待されます。
また、直近の2Q決算では通期業績予想の上方修正が行われました。少なくとも今期は好調に推移する見通しのようです。
トヨタ自動車の売上の約半分を占める日本では来年に消費税増税が控えています。
そして米国の景気後退も近いと言われています(これは毎年言われているような気もしますが…)。
少なくとも、グングンと伸びていく段階は過ぎたように思えます。
売買の履歴
ありません。