配当金生活を夢見る方なら、一度は「配当金生活をするのにいくら必要なのだろうか」と考えたことがあると思います。
3000万円、5000万円など、何らかの前提をもとにしてそれなりの結論を出すことは出来ますが、結局のところ「必要な資金量は人それぞれ」なんですよね。
なぜなら、
- 配当金だけで食っていきたいのか、アルバイトくらいならしてもいいのか
- 家族構成(独身?子供は?親の介護は?…等々)
- 持ち家なのか賃貸なのか
- 生活水準
- 今の時点でまとまった資金はあるのか
- 年収はどのくらいあるのか
といった事柄は人によって大きく異なるからです。
ですので、今の収入・貯金額から配当金収入を目指すとどうなるのか、あるいはどうすれば配当金生活に近づいていけるのか、簡単にでもいいのでシミュレーションをしてみましょう。
そうすることで、配当金生活がもっと現実的な形で見えてくるはずです。
シミュレーションの例
ここでは一例として以下のような前提でシミュレーションをしてみます。
- 初期資金:50万円
- 毎年の追加資金:30万円
- 税引後配当利回り:4.0%
- 配当(株価)成長率:5.0%
投資に使える資金がすでに50万円あり、毎年の追加資金を30万円用意できそうな状況をイメージしています(月に2.5万円ペース)。
そして購入する銘柄の配当利回りは税引後で4%とします。これは税引前の配当利回り約5%相当となります。
また、配当成長率(配当金額が毎年どのくらい伸びていくのか)を5%としました。株価も配当利回りを維持する形で同じペースで伸びていくものとします。
上記の前提でシミュレーションしてみると、20年後には以下のような状態になることが分かります。
「株価」および「1株配当金」は、利回り通りのバランスになっていれば何でもOKです。
また、普通は100株単位で株を買うことになりますが、ここでは面倒なので1株単位で買えることにしています。
受取配当金はその年に貰える額です。
100株単位でしか買えないところを端数まできっちり買えたことにして計算しているため、実際にはもう少しパフォーマンスは落ちます。
ただ、前提となる配当成長率のブレの方が影響は大きいのでここではあまり気にしなくてよいでしょう。
上の例の場合、10年後には年間20万円近い配当金が受け取れる上に、評価額も+200万円くらいにまで増加しています。
なお、前提通りに増配率とともに株価が上昇しなかったとしても、その時は当初より高い利回りで買い増し出来ていることになります。
- 初期資金がもっとある
- 毎年の追加資金がもっとある
- 配当成長率はもっと高くていいと思う
といった場合には、さらにハイスピードで受取配当金を増やしていけることになります(シミュレーション上の話ですが)。
例えば毎年の追加資金を60万円(月平均5万円)とすれば、10年後には投資額650万円に対して受取配当金は40万円超となります。
今回、適当に作ったシミュレーション用のExcelファイルを一応DL出来るようにしておきました。
簡単な計算式しか使っていないので、慣れている人は0から自作した方が早いと思います。
配当利回りと配当成長率の参考値
シミュレーションで必要になる配当利回りと配当成長率(増配率)について、実際の日本株で参考になりそうな銘柄をピックアップしました。
花王とSPKは連続増配年数が長いことで有名です。
NTTドコモとJTは配当利回りが高く、個人的に注目している(保有もしている)銘柄なので入れてみました。
数値は2018年11月9日時点のものです。
銘柄 | 花王 | SPK | NTTドコモ | JT |
---|---|---|---|---|
連続増配年数 | 29年 | 21年 | 5年 | 4年 |
連続非減配年数 | 29年 | 27年 | 16年 | 15年 |
3年平均増配率 | 14.5% | 3.2% | 16.3% | 14.5% |
5年平均増配率 | 13.4% | 3.3% | 12.9% | 9.3% |
10年平均増配率 | 7.9% | 3.6% | 8.6% | 18.7% |
予想配当利回り | 1.57% | 2.78% | 4.31% | 5.27% |
ここで言う増配率…例えば3年平均増配率とは、直近3年間の平均増配率です。
花王であれば、ここ3年間は毎年14.5%ずつ配当額が増えてきたのと同じだけの増配っぷりであることを意味します。
こう見ると、企業によってはけっこうなペースで増配をしてきたことが分かります。
ぜひ今後も続けていただきたいものです。
シミュレーション結果から見えてくるもの
現状で想定できる数字を入れてシミュレーションしてみると、
- あと何年で配当金生活が実現するのか(あるいは実現が厳しそうか)
- 毎年の投資額をどのくらい増やすと何年短縮できるのか
といったことが見えてきます。
そこからさらに投資に回すお金を増やす方法を考えていくと、配当金生活への道がより具体的なものになっていくはずです。
最後に
身も蓋もないことを言ってしまうと、資金(あるいは今後の入金力)さえあれば配当金生活は簡単に実現できます。
難しいトレードなんてする必要はなく、安定して配当金を出してくれる企業の株を必要なだけ買えればいいだけですからね。
シミュレーションは、配当金生活のために必要な資金・入金力を知るための手掛かりになることでしょう。