ドコモの株価が急落。値下げの影響はどの程度あるのか。増配は継続可能か

2018年10月31日、NTTドコモが料金プランの大胆な見直し(値下げ)を発表し、ドコモやKDDIなど携帯会社を中心に株価が急落しました。

日本電信電話に至ってはストップ安にまで至っています。

今後どうすべきかを考える上でも、今回の開示資料を私なりに精査してみました。

配当金投資の観点からすると私の結論は「買い」なのですが、他のプレーヤーがどう思うかによってはずるずると下げますから、取引を検討している方はお気をつけください。

1年あたり最大4,000億円規模となるお客様還元

値下げ発表に該当する部分を、同日に開示された「社長からのメッセージ」より抜粋・引用します。

お客様還元では、料金プランが「複雑で分かりにくい」というお客様の声を真摯に受け止め、シンプルで分かりやすい料金プランに大胆な見直しを行います。さらに、この料金プランの導入にあわせて、2~4割程度ご利用料金を低廉化させ※、1年あたり最大4,000億円規模となるお客様還元を実行いたします。料金プランについては2019年度第1四半期の発表・提供開始を予定しております。

※お客様のご利用状況によっては記載の値下げ水準とならない場合があります

1年あたり最大4,000億円規模となるお客様還元、すなわち利益圧迫要因が2019年1Qよりスタート予定ということです。

2~4割程度の利用料金値下げと言っても、東洋経済オンラインの『ドコモ通信料金「大幅値下げ」に踏み切る真因』によれば、ユーザー1人当たりの還元額は月額500円程度とのこと。

私も短信にあったモバイル営業収益とLTEサービス契約数から適当に計算してみたところ、平均で月額665円程度の値下げという結果になりました(4000億円を還元した場合で計算)。

毎月1万円近い料金を支払っているユーザーは値下げになる一方で、その他のユーザーにはそこまで恩恵はないとか、そんな感じになるんですかね。

それでも仮に4000億円を還元したら、その分営業収益および営業利益はごっそり減ることになります。

ドコモの営業利益は2018年3月期で約9,700億円ですから、もし4,000億円の還元を行えば利益が半分近くにまで減少してしまうことになります

さらに、

2021年度に営業収益5兆円、2023年度に営業利益9,900億円(2017年度水準)への回復をめざします。

と書いています。

営業利益が今の水準に戻るまでに5年を想定していると読み取れますね。

おそらく、もっとも還元額が大きくなったケースを想定した、余裕を持った数字を載せているとは思いますが、新たな料金プランの詳細が分からない以上、ひとまずこの数字を真に受けるしかなさそうです。

株価への影響は?

4000億円の還元という言葉のインパクト、そして業績回復に利益ベースで5年ほどかかる見通しであることから考えると今回の急落は妥当な反応に思えます。

リバウンドの後、さらにずるずると下げていく可能性もあります。

唯一の支えは配当利回りでしょうか。

株価2200円で配当利回り5%、2000円なら5.5%です。

減配の可能性が見え隠れしない限りは、なんちゃらショックが起こらない限りは2000円を割ることはないと思います。

配当は継続できるのか

配当金狙いの株式投資をしている身としては、直近の株価がどうのこうのよりも減配をせず、できれば増配してくれることが最重要です。

今回の発表を読む限り、来期以降の値下げによって利益が減少するのはほぼ確実ですが、「配当の継続どころか今後も増配は続けていく」と私は思っています。

株主還元を加速するらしい

同時に公開された決算説明資料には「継続的な増配と機動的な自己株式取得を加速」の文字が掲げられています。

”加速”なんてありましたっけ?

今期1Qおよび前期末の決算説明資料には見当たりませんでした。

ググっても今回の決算説明資料くらいしか見つかりませんでした

また、決算発表とともに「自己株式の取得枠設定に関するお知らせ」も開示されており、これは過去最大規模となります。

そして消却については数値目安を廃し、原則として全て消却…と思わせるような表現に変更されました。

社長からのメッセージ」にもしっかりと以下のように書かれています。

中期経営戦略を実行することで持続的な成長を果たし、継続的な増配と機動的な自己株式取得による株主還元をさらに加速してまいります。

まぁ、言うだけならタダなわけであり、実行できなければ意味がないのはもっともです。

しかし、少なくともこれまで増配を続けてきた実績があり、今後もそれを継続するどころか加速していくという姿勢を示したのは評価すべき部分だと私は思います。

これをひっくり返されたらもう詰みます。

自己株式の取得で配当総額は抑えられる

今回発表された自己株式の取得では上限を2億6千万株としており、これは自己株式を除く発行済株式総数の7.24%にあたります(取得価額は6000億円が上限)。

単純に考えると、発行済み株式数が7.24%減少すれば、配当総額を変えなくとも7.8%の増配が可能という計算になります。

配当総額を山分けする株主(株数)が減るわけですから、1株あたりの配当金は増えますよね。

とはいえ、自己株式を取得するだけの資金がなければ自社株買いをしたくてもできません。

ドコモの貸借対照表を見てみると、2018年3月期末における現金及び現金同等物が約4,000億円。流動資産は3兆円ほどあります(流動負債は1.5兆円)。

フリーキャッシュフローも数千億円規模であることから、コンスタントに自社株買いを行っていくことは十分に可能だと思えます。

最後に

今回の発表では、一部のユーザーの利用料金が2~4割安くするとは言っているものの、具体的な中身は発表されていません。

また、1年あたり最大4,000億円規模となるお客様還元とは言うものの、最大4,000億円ですので蓋を開けてみれば数百億円…なんて可能性もあるにはあるわけです。

ひねくれた見方をすれば、今回の発表で株価が下がったことでドコモは安く自社株買いができるようになりました(株価がすぐに戻らなければ)。

携帯料金を下げたい政府(菅房長官?)のご機嫌を取りつつ自社株買いの費用を抑えた上で、ちゃっかり利益の減少幅を抑えてきたらドコモすげー!って思いますよほんと。