REIT(リート)はご存知の通り不動産投資信託のことですが、それらREIT銘柄の値動きを代表する指数に「東証REIT指数」というものがあります。
そしてこの東証REIT指数に連動するように作られたETF(上場投資信託)がJ-REITのETF(REIT指数連動型ETF)です。
私自身は「普通にリート銘柄を個別で買えばいいじゃん」と思っていたのですが、何となく気になったので調べてみることにしました。
結論から言うと、絶対的にどちらかが良いということはなく、目的や前提条件に応じて使い分けるのがベストです。
リートの個別銘柄とリートETFの比較
リート個別銘柄 | リートETF | |
---|---|---|
銘柄数 | 59銘柄 | 7銘柄 |
運用手数料 | なし | あり |
分配金 | あり | あり |
平均分配金利回り | 約4% | 約3.5% |
必要資金 | 比較的高め | 比較的低め |
銘柄分散の難易度 | 比較的高め | 比較的低め |
※数字は2018年7月12日時点のものです。
【銘柄数】
銘柄数はリート個別銘柄の方が多いです。リートETF(東証REIT指数連動のもの)では個別銘柄を組み合わせて運用しているので、当然と言えば当然ですね。
【運用手数料】
個別銘柄は株式と同様で運用手数料のようなものはかかりません。一方、ETFの方は運用手数料(信託報酬)がかかります。信託報酬は税抜0.15~0.3%程度です。
【分配金】
分配金は個別銘柄とETFのどちらもあります。
個別銘柄は年2回の決算(分配)が一般的ですが、ETFの方は年4回か年6回の決算(分配)が一般的です。
【平均分配金利回り】
分配金利回りは、個別銘柄の平均は約4%、ETFの平均は約3.5%でした。
個別銘柄の方が平均が高いことに加えて、銘柄ごとの幅も3%~6%と広いです。
ETFの方はいずれも3.5%前後に固まっています。
【必要資金と銘柄分散の難易度】
個別銘柄の投資口価格(最低購入代金)は数万円~70万円程度となっており、銘柄によっては1口買うだけでもそれなりの資金が必要です。したがって、購入銘柄を分散させようとした場合は選ぶ銘柄によってはかなりの資金が必要となります。
一方のETFは数千円、数万円から購入できます。ETF自体が複数銘柄を組み合わせて構成されていますので、ETFを1銘柄購入するだけでもある程度の分散効果が期待できます。
各JリートETFについて
リートETF銘柄 | 分配回数 (基準日) |
信託報酬 (税抜) |
直近の 分配金利回り |
---|---|---|---|
【1595】NZAM 上場投信 東証REIT指数 |
年4回 1, 4, 7, 10月の各15日 |
0.248%以内 | 3.35% |
【1343】NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 |
年4回 2, 5, 8, 11月の各10日 |
0.32%以内 | 3.44% |
【1476】iシェアーズ JリートETF |
年4回 2, 5, 8, 11月の各9日 |
0.16%以内 | 3.30% |
【1488】ダイワ上場投信 -東証REIT指数 |
年4回 3, 6, 9, 12月の各4日 |
0.155%以内 | 3.76% |
【1398】SMAM 東証REIT指数上場投信 |
年4回 3, 6, 9, 12月の各8日 |
0.22% | 3.49% |
【1597】MAXIS Jリート上場投信 |
年4回 3, 6, 9, 12月の各8日 |
0.25%以内 | 3.45% |
【1345】上場インデックスファンド Jリート隔月分配 |
年6回 奇数月の各8日 |
0.30%以内 | 3.5% |
「直近の分配金利回り」は、過去1年分の分配金の合計を、直近基準日の基準価格で割ったものです(税引前)。ただし、【1345】は公式サイトの数値を使用しました。いずれも2018年7月12日に確認した数値です。
時価総額や市場価格、出来高などはJ-REIT.COMが見やすくまとまっています。
目的や前提条件によって使い分けよう
高い分配金利回りを狙うなら個別銘柄
リートETFの分配金利回りは軒並み3.5%前後に落ち着いています。
ですので、分配金利回りをできるだけ高くしたいのであれば、4,5,6%台の個別銘柄を自分で購入する必要があります。
少ない資金で分散投資をしたい場合はETF
リート内で分散投資をしたいとなると、少なくとも百万円以上の資金は欲しいところです。
それが難しい場合はETFを利用した方が確実に分散効果を得られます。
銘柄選びが面倒な場合もETF
個別銘柄は調査時点で59種類ありますが、ETFは7種類しかありません。
出来高や時価総額がそれなりに大きいETFを2,3種類選んで買っておけばリスク分散としては十分でしょう。
信託報酬を払う代わりに楽をするパターンです。
毎月分配金を受け取りたい場合は個別銘柄でもETFでもOK
毎月分配金を受け取ろうと思ったら、個別銘柄を組み合わせても良いですし、ETFを組み合わせても良いです。
個別銘柄を組み合わせる場合は約50万円が必要資金の最低ラインとなります。その上で銘柄を選んでいくと、必要資金はもっと高くなります。
ETFを組み合わせる場合は10万円以下からスタートできるので、必要資金的にはETFの方がハードルは低めです。
最後に
リートETFの分配金利回りがやや低めなのは、ETFが安心感のある高格付けリート銘柄を中心とした構成になっているためだと思われます。
逆に低格付け、無格付けの個別銘柄はETFに買われず、価格が比較的上がらないので利回りが高いまま、といった感じですね。
では「低格付け、無格付けの個別銘柄は危ないのか?」というと、決してそういうわけでもないでしょう。
そんなわけで、私は引き続き高利回りの個別銘柄を分配金目当てで購入していくつもりです。