インヴィンシブル投資法人への投資は継続。新型コロナウイルスの影響は見えないけれど、少なくとも当面の分配金は大丈夫そう

インヴィンシブル投資法人の12月期決算が発表されました。

⇒インヴィンシブル投資法人のIRライブラリ

新型コロナウイルス絡みの開示もあるかと期待していたのですが、ホテル物件の収益に悪影響を及ぼすことは見込まれるものの、現時点ではその影響を予想することが困難なため2020年の運用見通しには織り込んでいない、とのことでした。

さてどうしたものかと思って資料に目を通してみた結果、「少なくとも当面の分配金は大丈夫そうだし投資継続!」という判断に至りました。

2027年までの1口当たり分配金の下限目標は年間3,400円

決算説明資料の中に、「2027年までのDPU下限目標」という項目がありました。

DPU(Distributions Per Unit)=1口当たり分配金

2020年から2027年までの8年間は、「年間の分配金を1口当たり3400円以上にしますよ」という宣言です。

この項目は2019年6月期の決算説明資料には無かったので、今回の2019年12月期から追加されたのでしょう。

もともと入れる予定だったのか、新型コロナウイルスの影響で投資口価格(以後、面倒なので株価)が下落していることから株価対策の一環として入れたのかは分かりません。

それでも、新型コロナウイルスの影響が(開示できるほどではなくても)分かってきている段階でこの項目を追加し、しかも文中に「年間3,400円以上のDPU⽬標は達成の蓋然性が⾼いと⾒込む」と書いているくらいですから、それなりに自信はあるのだと思います。

今日(2020年2月20日)のインヴィンシブル投資法人の終値は52,500円。

年間分配金が下限ギリギリの3,400円だったとしても利回りは6.47%です。

仮に52,500円で買って2027年末まで保有していれば、最低でも投資元本の50%超は回収できる計算になります。

株価が半分になってしまったらアレですが、さすがに新型コロナウイルスの影響でそこまではいかないでしょう。

DPU3,400円キープは可能なのか

少なくとも2027年までDPU3,400円をキープできるのか、ざっくりとでもいいので確認したいと思います。

まず、インヴィンシブル投資法人の場合、営業収益にはホテルの業績によって影響を受ける部分が存在します。

それが「ホテル変動賃料(変動分)」というところです。2019年12月期実績では、ホテル変動賃料(変動分)の営業収益の構成比は32.1%となっています。

シェラトンの受取分配金も影響を受けそうなので、ここは適当に35%ということで計算を進めます。

ホテルの業績がどのくらいダメになると変動賃料(変動分)が0になるのかはよく分かりませんが、新型コロナウイルスの影響で分岐点まで達してしまい、変動賃料(変動分)が0になってしまったと仮定すると、営業収益は35%減となります。当期利益もだいたい35%減になってしまうでしょう。

ギリギリ3400円の年間分配金を出せるだけの当期利益が出ていたはずなのに、それが35%減となると、分配金も35%減となって、その35%分の1,190円が不足することになります。

この不足分がなんとか補填できれば3400円をキープできるでしょうし、補填できなければ下限目標は達成できません。

ここで改めて↓の画像を見てみると、「2019年12月末時点における内部留保額は127億円(投資口1口当たり2,090円)」とあります。

35%減による不足分1,190円より大きな内部留保額(投資口1口当たり2,090円)があるので、コロナウイルスの影響が2年くらい続いても何とかなりそうな雰囲気はありますね。

また、そもそも内部留保額だけで補填するというよりは、「余剰FFO」も活用するつもりのようです。

余剰FFO=減価償却費から「メンテナンスCAPEX」を控除した⾦額。CAPEX=設備投資。

減価償却費は実際にキャッシュアウトがあるわけではないので、その分の現金は分配せずに様々な用途に活用することができる。

2020年の余剰FFOからさらに戦略的CAPEX(設備投資)を引いた残りのフリー・キャッシュは1口当たり730円とのことなので、これを優先的に不足分にぶつければ、内部留保額はさらに長持ちすることになりそうです。

もちろん、今後もフリー・キャッシュが横ばい以上を維持できるのかはまた別の問題ですが、8年間、DPU下限目標3,400円をキープすることくらいはそこまで難しくないのではないかと思います。

そもそも、新型コロナウイルスの影響で変動賃料が0になるのかは分かりませんし、それが数年間も継続されるというも考えづらいです。

ちなみに、ジャパン・ホテル・リート投資法人の1月度月次開示には以下のような記述がありました。

2 月以降、上記新型肺炎の流行による訪日中国人の減少の影響は大きくなり、本日現在、変動賃料等導入 20 ホテル合計の 2 月度の RevPAR は、前年同月比 20%強減少する可能性があると考えています。

RevPARとホテルの売上が比例するとは限らないこと、ホテルの売上と変動賃料との関係が明確でないことには注意が必要ですが、何となくの参考にはなりそうですね。

結論:「少なくとも当面の分配金は大丈夫そうだし投資継続!」

まぁ、大丈夫じゃないですかね。

とりあえず先日売却した分については明日、買い戻す予定です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. 匿名 より:

    同じようにどうすべきか迷ってました。決算資料説明資料も80ページもあり上記の内容まで理解するのに悩んでいました。このサイトのおかげで押目買いの決断がつきました。ありがとうございました!

    • ぽてっと より:

      コメントありがとうございます。
      自分ではこれで合っていると思って書いていますが、本当に正しいかは分かりませんので、信じ過ぎずにご判断下さい!