私が株式投資を始めるための種銭はアフィリエイトで稼いだものが大部分です(稼ぎ頭はこのサイトではありませんし、現在のアフィリエイト収入は微々たるものです)。
そして実はイケイケだった頃に法人化(株式会社化)もしていました。
ですが、今は売上はだいぶ落ちてきていて、決算等々が面倒だったり引っ越しなどを考える上でも足かせになりがちだったりと、法人を持つことのデメリットが目立つようになってきたので解散することにしました。
株式会社の解散というレアな経験の備忘録として、どういった流れでどんな手続きをしたのかメモしておきます。
ちなみに、私は法人設立時から税理士さんに決算+αのサポートをお願いしていたので、会社を解散する際もアドバイスをいただきました。
※まだすべての解散・清算手続きが完了していないので、記事としては未完成です。
前提
会社の解散と一口に言っても、状況が違えばやるべきことも少しずつ変わってきます。
私の場合は下記のようなケースですので、これに当てはまらない場合は他にも手続きが発生する可能性があります。
- 株式会社(合同会社ではない)を解散する
- 実質1人株式会社…自分が社長で社員はいない、あるいは役員が他にいたとしても全員身内
- 債権者は自分(と身内)以外はいない(もちろん借り入れもない)
また、当たり前ですがここで紹介する方法で完璧かどうかは保証できません。あくまで「私はこういう流れで手続きをしました」という体験談です。
株式会社の解散時に行った手続の流れ
株式会社の解散自体はそこまで難しくはないのですが、解散に伴ってあれやこれやと発生する手続きがあり、全体像を把握するのに少々てこずりました。
私が行った手続き(本筋)の流れは以下の通りです。
【解散日~】
- 解散及び清算人選任登記
- 官報公告
- 解散届の提出
- 法人の決算・確定申告①(解散事業年度)
【債権申出期間終了後~】
- 法人の決算・確定申告②(残余財産確定事業年度)
- 残余財産の分配(あれば)
- 清算決了登記(これで一連の諸手続きが完了)
だいぶ端折りましたが大まかな流れはこんな感じです。
調べて出てくるのも、上記の流れを場合分けしたり、より詳しく解説したものが多いです。
しかし実際には、これに加えて次のような項目にも対応する必要があります。
- 解散日をいつにするか
- 退職金の検討・手続き
- 社会保険関連の手続き
- 国保関連の手続き(解散後すぐに就職するなら関係なし)
以下、これらの手続きについて時系列で詳細を書いていきます。
Step1:解散を決意したタイミング
【解散日の決定】
株式会社を解散すると決めたら、まずは解散日を決めます。
解散日はいつでもいいのですが、大型連休前や繁忙期は避けた方が無難でしょう。
また、会社を解散すると退職金や残余財産の処分が発生するケースもあるので、個人の所得も気にしつつ、できるだけ損しないタイミングを選びたいものです。
「できるだけ早く解散したい!」というなら、その日に株主総会を開催して解散したり、なんなら過去に株主総会を開催したことにして議事録を作るなんていう荒業もできるとは思います。
ただし、清算手続きを開始したら、債権申出期間中は原則として債務の弁済(税金の納付や給与の支払いなども…!)はできないようです。
そのため、今の今で解散するよりは、余裕をもって計画的に解散を進めた方が良いと思います。
【退職金の検討】
法人にけっこうな剰余金がある場合は退職金を出すかどうか検討します。
- 直近の業績(前期黒字で今期赤字なら欠損金の繰戻し還付の可能性あり)
- 退職所得控除の額
- 妥当な退職金の額(残余財産をどのくらい残すか)
- 退職金を受け取る年の個人所得
などなどから退職金の有無・金額を検討しましょう。
場合によってはもう一年、法人を存続させた方が良いということもあります。
この点は本当にケースバイケースなので、一概に「これがベスト」とは言えません。
Step2:解散日2週間前~解散日前日
「解散日2週間前くらい」と書きましたが、私はこのくらい前から動き出したというだけです。
解散手続きに割ける時間がけっこうあるなら1週間前でも余裕だと思います。
【すべきことの確認・リストアップ】
解散日を決めたものの、頭の中がごちゃごちゃだったので、すべきことを書きだすところから始めました。
後から項目を追加することもありましたが、やはり一覧にしておくと抜け漏れが減らせるので便利です。
紙でもExcelでも何でもいいのでリストアップしておくことをお勧めします。
【解散及び清算人選任登記関連の準備】
この登記が解散手続きの大本命です。
私の場合で必要だったものは以下の通りです。
- 株式会社解散及び清算人選任登記申請書
- 登記すべき事項
- 定款
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書(議事録で代用)
- 印鑑届書
- 印鑑証明書(個人)
◆1.株式会社解散及び清算人選任登記申請書
この申請書を出して受理されればクリアです。
書き方は、法務局のwebサイトにある株式会社解散及び清算人選任登記申請書の見本兼記入例的なもの(以後、見本と呼びます)を参考にすると良いです。
ただし、添付や別途用意しなければならない書類等がいくつかあるので、その抜け漏れには細心の注意を払いましょう。
必要な書類等については上記のPDFファイルを見ながらリストアップしていきました。
後述する「登記・供託オンライン申請システム」を使えば雛形に必要事項を記入していくだけで書類が出来上がりますが、利用時間に制限があったり、単発の申請ならWord等でチャチャっと作ったほうが早かったり…。
私は結局Wordで作りました。
◆2.登記すべき事項
先ほどの見本のPDFファイルを読んでいくと「登記すべき事項」のオンライン提出を促されます。
ですが、「登記すべき事項」は申請書に直接記載しても問題ありません。
一応、CD-Rに記録するという選択肢もありますが明らかに面倒ですので、「登記すべき事項」は
- 申請書に直接記載する
- 登記・供託オンライン申請システムを使ってオンライン提出をする
のいずれかが良いと思います。
ちなみに私は、申請時には色々と理解が不足していたこともあり、最も面倒な「CD-Rに記録」という選択肢を選んでしまいました…。
(補足)CD-Rを選んでしまった理由
見本のPDFを読んでいた私は、
「登記すべき事項」は別紙でオンライン申請しないといけない
↓
オンライン申請でなくても、CD-R(又はDVD-R)に記録することもできる
↓
オンライン申請は面倒臭そうだからCD-Rで出すしかないか…
という風に考えていました。そして実際にCD-Rにテキストファイルを1つだけいれて提出しました。
しかし、そもそも別紙で出さないといけないというのが大きな勘違いでした。普通に登記申請書に書くだけで良かったのです。
どうしても別紙にしたい時はオンライン申請やCD-Rで出せるよ、というだけの話だったのです。
見本のPDFのあの記述じゃそうは読み取れないでしょう…。もう一度、見本の該当部分を載せておきます。
この反省は清算結了登記に活かせたのが、せめてもの救いです。
◆3.定款
定款は会社設立時に謄本を入手していると思うのでそれを使っても良いです。
私は何となく謄本を残しておきたかったので、謄本をコピーしたものを使用しました(厳密には、電子定款なので元ファイルを印刷したものを使用)。
◆4.株主総会議事録
株式会社を解散させ、自分が代表清算人になるために、株主総会で決議を行います。
「決議日=解散日」という形にしておかないと色々と面倒なのでそういう建前にしましたが、議事録自体は事前にさっさと作っておきました。
そうしないと解散日が慌ただしくなってしまいますからね。
この辺りは一人株式会社だからこそできる手抜きと言えます。
株主総会議事録についても見本のPDFに例が載っているので、真似しながら作っていけば大丈夫です。
私が実際に作成した株主総会(議事録)の構成は、
- 第1号議案…「当会社解散の件」
- 第2号議案…「解散に伴う清算人選任の件」
- 第3号議案…「役員退職金の件」
といった感じにしました。
解散時に必須なのは第1号議案と第2号議案です。
加えて、私の場合は役員退職金も出すことにしたので、それも盛り込みました。
また、通常は添付書類の一つとして「就任承諾書」が必要ですが、株主総会の議事録に「被選任者がその就任を承諾した旨」が書かれていれば添付が不要となります。
これも書いておきました。
注意点として、株主総会の開催時刻はできるだけ早めにしておいた方が無難です。
株主総会の開催時刻が10時~11時なのに、登記申請をしたのが9時だった…なんてことにはならないようにしたいものです。
◆5.株主リスト
株主リストも見本のPDFに例が載っているので、真似して作成しました。
◆6.就任承諾書(議事録で代用)
株主総会議事録のところで書いたように、議事録へのちょっとした記載で代用しました。
また、申請書に「その他の申請書記載事項」という項目を設け、そこに「就任承諾書については,株主総会議事録の記載を援用する。」と記載しました。
◆7.印鑑届書
代表清算人の印鑑は「印鑑届書」によって登記所に提出した印鑑を使用する必要があります。
会社設立時に印鑑登録をした個人の印鑑があったため、それを使って印鑑届書を作成しました。
印鑑届書は法務局のwebサイトからDLできるので、それを印刷して使用しました。
◆8.印鑑証明書(個人)
印鑑届書に印を押した印鑑の印鑑証明書です。
これは市役所に印鑑カードを持っていけばすぐに発行してもらえます(マイナンバーカードがあればコンビニでも可能)。
【法務局で事前相談】
おそらくどこの法務局でも、登記に関する事前相談を受け付けています(予約制)。
解散したい日に一発勝負でもいいとは思いますが、慎重に進めたい方は事前相談を受けておくことをお勧めします。
私は以下の物を持って事前相談に臨みました。
- 【解散及び清算人選任登記関連の準備】で用意した書類一式
- 法人の印鑑
- 個人の印鑑(代表清算人の印鑑)
- 印鑑登録証明書
- 登記簿謄本
その結果、提出すべき書類は万全の状態となりました。
各書類には必要と思われる押印を一通り施した上で持っていったのですが、相談員の方に言われて数か所に追加で押印したり追記したりしました。
そして最後に書類をまとめてホチキスどめまでしてもらえました。
「そこ、見本のPDFには代表清算人の印鑑って書いてあったけど会社印を押すの?」なんて野暮なことは思っても口に出してはいけません。
大切なのは法務局で登記申請が受理されることですからね。
どこにどの印鑑を押すのかいまいち自信がない場合は、いっそ押印していない状態で持っていって、相談しながら押すのもアリだと思います。
そのくらい丁寧に対応してもらえました。
【源泉税・退職金関係の準備】
解散登記を行って債権申出期間に入ると債務の弁済が出来なくなってしまいます。
しかし、できれば源泉徴収した所得税や退職金などは払っておきたいところ。
税理士さん曰く「解散日当日に一通り払ってしまうのがスマート」とのことだったので、解散日に税金やら退職金やらを支払えるように、事前に準備をしておきました。
具体的には、
- 上下半期の源泉所得税の計算・納付書作成
- 退職金にかかる市町村民税・道府県民税の計算・納付書作成
- 退職金の振込予約
です。
また、退職金を支払う場合には、
も後々で必要となるので、これらも準備しておきました。
Step3:解散日当日
【源泉徴収した所得税の納付など】
直近半期分の源泉徴収税や、退職金にかかる源泉徴収税などを納付しました。
解散日と同日までなら会社のお金を使ってもいいと税理士さんが言っていたので、この日のうちに全力で終わらせました。
【株主総会の開催】
既に議事録はできているので本当に建前的ですが株主総会を開催し、解散等の決議を行いました。
【登記申請】
法務局に行き、事前相談時に完成されていた書類を提出しました。
提出時には本当に何もチェックしてくれません。
書類の不備等はもちろん、余計なメモ用紙が挟まっていてもおそらく気づいてもらえないでしょう。
そして提出は一瞬で終わります。
そこそこ時間をかけて法務局に行った意味とは…。
「登記申請日をできるだけ早くしたい」、「郵送するよりも持ち込んだ方が楽」、といった理由がなければ郵送でいいと思います。
【解散公告の申込み】
株式会社を解散する場合、基本的には解散公告をしなければならないと会社法に定められています。
解散公告は官報に掲載するので、全国官報販売協同組合のサイトから解散公告の掲載申込みをしました。
サイト上のフォームから申し込みができ、その後ちょっとしたメールのやり取りをするだけで申し込みは完了しました。
文面は決まり切っていますし、手続きもスムーズに進むのでかなり簡単です。
会社関係の広告は1行あたり3,589円(税込)がかかるため、他社の掲載分を参考にしつつ、削れるところは削って行数を少し減らしました。
他社の解散公告文を見たい時は、インターネット版官報で「号外 > 広告 > 会社その他」とたどっていくと見られます。
Step4:解散日の翌日~
【社会保険関係の手続き】
会社を解散したことで役員は退職となり、社会保険から外れることになります。
ですので、会社として協会けんぽ等に対し、「被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。
書類は日本年金機構のwebサイトからダウンロードできます。
書類自体の記入は簡単に終わり、保険証と合わせて送付しました。
また、解散登記が完了した段階で、「適用事業所全喪届」を提出する必要があります。
こちらも記入して提出するだけですが、忘れないように気を付けたいところです。
【国保加入手続き】(必要に応じて)
会社を解散した際に加入する社会保険が他にない場合は国民健康保険&国民年金への加入手続きを行わなければなりません。
国保に加入する際には、社会保険の被保険者資格を喪失した証明書を求められることがあります。
事前に市役所等に確認しておき、何らかの証明書が必要であれば事前に準備しておくとスムーズです。
逆に、会社解散時に別の会社に勤めていたり、間髪入れず就職したりする場合は、その会社経由で社会保険に加入することになります。
※以下の手続きは完了次第、追記していきます。
Step5:解散登記完了後(追記予定)
Step6:公告期間終了後(追記予定)
最後に
代行業者に頼めば、自分であれこれ調べずに済ませられたのかもしれません。
しかし、実際に自分で作業をしてみると、おそらく代行業者は代行してくれないであろう部分(退職金や社保関連)の割合もそれなりにありました。
また、解散自体は株主総会の決議で確定していますから、万が一、解散登記が遅れたとしても実害はそこまでないでしょう。
まだすべての手続きが終わったわけではありませんが、会社の解散に関しては自力でやってみて良かったです。
もちろん、自分の時間が少なからず持っていかれてしまうので、「数万円~の費用で代行してもらえるならその方がいい」という方は、深いことは考えずに代行業者にお願いするのもアリでしょう。
ただし、代行してもらえるのは登記申請関係だけというケースがほとんどだと思います。
いずれにしても、解散前後のスケジュール感を把握し、1つ1つの作業に落とし込んでいくことが一番大切です。
専門家でないと難しいとも言われる「解散及び清算人選任登記」は、
- 見本を見ながら必要書類を作成・準備
- 「登記すべき事項」の記載方法を理解する
- 心配なら法務局で事前相談
辺りを押さえておけば、登記申請が初めての素人でも何とかなります。
登記申請以外にもすべきことはあるので、しっかりと向き合って作業を1つずつ片付けていくのがおすすめです。
コメント
私は休眠の法人を解散する予定ですが、具体的に書いて頂き大変参考になりました、有難う御座います!