J-REIT(Jリート)の投資口価格を色々な指標とぶつけてみた

2019年1月24日現在、J-REIT(以後、リート)は約60銘柄あります。

そんな各リートの投資口価格はどのようにして決まるのか…と言うと大げさですが、一口NAVや時価総額などといった指標との関係性が見出せないか、ざっくりと探ってみました。

あまり手間をかけたくもないので、使う情報はJAPAN-REIT.COMというサイトにあるものだけにしました。

投資口価格とぶつける指標等

投資口価格とぶつけて散布図を作ってみる指標等は以下の10種類です。

  1. 1口NAV(円)
  2. 資産規模(億円)
  3. 棟数
  4. 平均築年数
  5. NOI利回り
  6. 含み損益率
  7. 自己資本利益率(ROE)
  8. 有利子負債比率
  9. 投資口数
  10. 予想年間分配金(円)

これら意外にも運用資産の種類や格付け状況などの要因はありますが、ここでは諸事情により上記の10種類のみとします。

なお、データはいずれも2019年1月24日にJAPAN-REIT.COMから取得したものです。

投資口価格と指標等をぶつけた結果

投資口価格×1口NAV(円)

NAVとはNet Asset Valueの略で純資産総額を表します。リートの場合は含み損益を反映させた時価ベースでの純資産総額とすることが多いそうです。

このNAVを投資口数で割ったものが1口NAVです。つまり、1口NAVは1口当たりの時価純資産総額と言ってよいでしょう。

さて、この1口NAVと投資口価格を比較したものが以下のグラフです。

縦軸…投資口価格、横軸…1口NAV

1口NAVすなわち1口当たり純資産総額が大きいほど投資口価格が大きいというのは、まぁ当然の結果ですね。

しかし、中には投資口価格が上振れしているものや、逆に下振れしているものもあるので、こういった歪みは投資判断に使われます。

投資口価格を1口NAVで割ったものはNAV倍率と呼ばれています。

投資口価格×資産規模(億円)

縦軸…投資口価格、横軸…資産規模(億円)

資産規模は投資口価格にあまり関係なさそうです。

資産規模は比較的小さい銘柄の方が多いようです。

投資口価格×棟数

縦軸…投資口価格、横軸…棟数

棟数も投資口価格との関連は薄そうです。

資産規模に偏りがあったように、棟数も少ない方にやや偏っているように見えます。

投資口価格×平均築年数

縦軸…投資口価格、横軸…平均築年数

平均築年数は20年付近に集中しているようですね。

投資口価格との相関は見られません。

投資口価格×NOI利回り

NOIとはNet Operating Incomeの略で、賃料から管理費や固定資産税などの諸経費を除いた収益を意味します。通常、現金支出に関係しない減価償却費は計算に含みませんが、リートでは減価償却費を差し引いて計算する場合もあり、その時は特に償却後NOIと呼ぶことがあります。これは減価償却費分の現金は分配しないリートに多いです。

そして、この収益性を表す指標であるNOIを物件の取得額や期末簿価で割ったものをNOI利回りと言います。

さて、この1口NOIと投資口価格を比較したものが以下のグラフです。

縦軸…投資口価格、横軸…NOI利回り

NOI利回りが高いほど投資口価格も高いのでは…?と思いがちですが、実際のところそうではなく、むしろ逆のようにも思えます。あるいは無相関。

どうやら、高いNOIのREITは運用資産に付加価値付きの物件(ホテル、商業施設、ヘルスケアなど)が多いようです(サラリーマンの資産運用のお勉強 – REITのNOI利回りと分配金の関係の謎。実不動産との違いについて)。

また、NOI利回りが高いということはそれだけ安く物件を買えたことを意味しますが、物件が安いのにはそれなりの理由があるからでは…という見方もできます。

そういう風に見ていくと、「むしろNOI利回りが低い方が手堅い物件を保有していて安心感がある⇒投資口価格が高くなる」という解釈が成り立ちます。

あまりにもNOI利回りが低いのは困りますが、高ければいいというものでもないのです。

投資口価格×含み損益率

縦軸…投資口価格、横軸…含み損益率

含み損益率は投資口価格と直接的な関係は薄そうです。

投資口価格×自己資本利益率(ROE)

縦軸…投資口価格、横軸…自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率(ROE)も投資口価格とは直接的な関係はなさそうです。

ROEは4~7%付近に集中していることが分かります。

投資口価格×有利子負債比率

縦軸…投資口価格、横軸…有利子負債比率

続いて有利子負債比率ですが、こちらも無相関っぽいです。

グラフ化する前から何となく分かっていましたが念のため…というやつです。

投資口価格×投資口数

縦軸…投資口価格、横軸…投資口数

投資口数は、調査日の時価総額を投資口価格で割って算出しました。

丸めた後の数字を使って計算しているので実際の投資口数とは若干差異がありますが、雰囲気をつかむ分には問題ない範囲だと思います。

さて、投資口数と投資口価格はなんとなく反比例っぽい関係になっているように見えます。

投資口数×投資口価格で求まる時価総額は銘柄によってけっこうばらけていると思うのですが、意外な結果でした。

ちなみにこれを投資判断に活かせる気は全然しません…。

投資口価格×予想年間分配金(円)

縦軸…投資口価格、横軸…予想年間分配金(円)

最後に予想年間分配金との比較ですが、こちらはある程度の相関が読み取れます。

(1口当たりの)分配金が高いほど投資口価格も高い傾向にあるということです。

分配金利回りが3~7%くらいに収まっていることからして、当然と言えば当然の結果ではあります。

※分配金額は投資口価格と分配金利回りから逆算して出しました。

最後に

投資口価格は1口NAVおよび1口当たりの分配金と高い相関があることが分かりました。

1口NAV(1口当たりの時価純資産総額)が大きいほど分配金も大きくなるので、1口NAVと分配金にもしっかりと相関があります。

しかし、きれいに正比例しているわけではありません。

この辺りの、投資口価格・1口NAV・分配金の三角関係を上手くゴニョゴニョしていけば投資口価格の歪みを見つけて小銭を稼げそうな気がしなくもありません。

最終的に何をしたかったのかよく分からなくなってしまいましたが、せっかく調べたので記事にしておきました。

おしまい。

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