『ウォール街のモメンタムウォーカー』(以後、本書とする)に書かれている、シンプルで効果的な投資法がGEM(グローバル・エクイティ・モメンタム)です。
グローバルエクイティという言葉が入っていることからも分かるように世界の株式を投資対象としつつ、絶対モメンタムと相対モメンタムを組み合わせて、資産を守りつつもリターンを伸ばしていく投資法です。
記事を書きつつ本書を何度も読んでいく中でようやく理解が深まってきたので、実際にこのGEMという投資法が私にとっても現実的な内容なのか確認してみました。
GEMの概要
GEMの仕組みをざっくりと言うと、以下の3つのインデックスを比較し、12ヵ月前と比べて最も勢いのある(モメンタムが強い)インデックスに乗っていく投資法です。
【GEMで扱うインデックス】
- S&P500(米国株)
- ACWI非米国株
- Tビル(米国債券)
1ヵ月に1回(このペースは任意だと思います)、そのときに最もモメンタムが強いインデックスに乗り換え(あるいは今保有しているものをホールド)していくことで、バックテストでは年次17%以上のリターンが出ています。
GEMや絶対モメンタム、相対モメンタムといったことを詳しく知りたい方はぜひ本書を手に取ってみてください。
そこそこの値段ですが、特にインデックス投資に関心がある人なら読んでおいて損はないと思います。
GEMで購入するETF
米国株、非米国株、米国債券の各インデックスに連動するETFを買うことでGEMを実践していきます。
少し調べた結果、以下の3銘柄を選びました。
- 米国株…VOO(バンガード・S&P 500 ETF)
- 非米国株…VXUS(バンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国) ETF)
- 米国債券…AGG(iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF)
別に上記の3銘柄にこだわる必要はないと思います。
大まかな対象(米国株、非米国株、米国債券)さえ外していなければ運用に大きな影響は出ないはずです。
上記のETFを売買できる証券会社
私がいつも利用しているSBI証券では上記のETFの取り扱いがあるので売買できます。
他社は調べていませんが、大手のネット証券であれば大丈夫だと思います。
また、米国ETFを買うことになるので円ではなくドルが必要です。SBI証券と連携できる住信SBIネット銀行で円→ドルの両替をしておくと為替手数料が安く抑えられるようです。
住信SBIネット銀行の口座も普段から利用しているので問題ありません。
GEMの具体的な実践方法
モメンタムをチェックしてETFを売買するタイミングを決める
GEMでは、各指数やETFの価格を毎日確認する必要はありません(確認してもいいですが)。
メンテナンスは月に1回なので、毎月○日、あるいは毎月第○週の○曜日、といった感じで決めておくと良さそうです。
ちなみに、本書ではルックバック期間の考察はされており、12ヵ月がベストと書かれていました。
しかし、メンテナンスの頻度については特に言及はなかったように思います。
毎日のようにモメンタムをチェックしていれば、優勢なETFが変わったタイミングですぐに売買をすることができます。一方で、その後すぐに戻ってしまう可能性もあり、そうなると売買コストだけが増えることになります。
あまりに頻繁なメンテナンスはデメリットの方が大きそうですが、例えば2週間に1回のメンテナンスだったらどうなのだろうか、とは思います。
とはいえバックテストが大変そうなので確認はしません。1ヵ月に1回のメンテナンスがベストという前提で進めていきます。
3つのETFのモメンタムをチェックする
メンテナンスの日に行う各ETFのモメンタムチェックには、本書でも紹介されていたStockCharts(https://stockcharts.com/freecharts/perf.php)を使うと良さそうです。
例えば先ほど挙げたVOO, VXUS, AGG のモメンタムを比較したい場合はこんな感じに入力します。
そしてグラフ下にある日数のバーを、起点が1年前になるように調整します。
これで前年同日比、つまりルックバック期間を12ヵ月とした時の絶対モメンタムがパーセンテージで確認できます。
上のスクショで言うと、この時はVOOが最もモメンタムが強いです。
この場合、既にVOOを持っていればそのままホールド、別のETFを持っていればそれは売却し、VOOを購入することになります。
ETFを売買
モメンタムチェックの結果を元にして、米国ETFが売買できる証券会社で売買を行います。
私が実際にGEMをするとしたらSBI証券をそのまま使います。
コストの検討
売買手数料
SBI証券の場合、米国ETFの売買手数料は以下のようになっています。
- 約定代金の0.45%(手数料下限5ドル/上限20ドル)
約50万円分以上のETFを購入するなら1回あたり2,200円くらいの手数料がかかるということですね(1ドル110円で計算)。
ETFを乗り換える際は売却してから購入となるため、倍の4,400円を想定しておけば良さそうです。
本書によると、バックテストでの資産の入れ替えは年平均で1.35回だったそうなので、売買手数料については年間1万円くらいを見積もっておけば大丈夫そうです。
手数料の上限があるので運用資産が増えても手数料が膨らむことがないのは嬉しいポイントです。運用資産の増加に伴い、売買手数料の比率は低下していきます。
為替手数料
住信SBIネット銀行では米ドル円の為替手数料が片道4銭/ドル です。100ドルで4円、1万ドルでも400円程度で済みます。
しかも、売買手数料と異なり、為替手数料は資金投入時と(何らかの理由での)投資終了時にしか必要ありません。
そこまで気にしなくて良さそうです。
為替変動による評価損益
コストとは異なりますが、外貨建て(GEMの場合はドル建て)の投資を行う際にはどうしても気になるのが為替変動による評価損益です。
例えば1ドル110円の時にGEMで110万円(=1万ドル)分のETFを購入し、1年で1.1万ドルになったとします。
しかし、そのときの為替レートが1ドル100円になっていたら、日本円に換算すると110万円となり、円建てで見た時には資産が全然増えていないことになります。
さらにそこから10%の円高が3年続いたとすると、100円→90円→81円→73円 となるわけですが、さすがに1ドル73円は現実的ではないように思えます。
GEMのバックテストでは年次リターンが10%を軽く超えていますし、長期目線で行くなら大丈夫でしょう。というか、為替変動による評価損益を気にしていると外貨建ての投資は全滅になってしまいます。
結論:試す価値はありそう
GEMは、外国株(ETF)の定期積立とは毛色が違います。
もちろん積み立てながら運用してもいいのですが、GEMの性質上、長期的な下落トレンドになった際もしっかりカバーできる仕組みになっているのが大きな魅力です。
何とか資金を捻出して運用をスタートさせたいと思っています。