先日、【8130】サンゲツと【9827】リリカラの話を書いた後に、同じようなパターンを狙えそうな業界はないものかと探していたら、半導体商社が目にとまりました。
だいぶ出遅れたタイミングでしたが、仮説検証の一環ということで試してみたら一応の利益を出すことができたので、一連のあれこれを記録しておきます。
売買結果
最終的に2銘柄を売買しました。
- 立花エレテック…利益1.82%(手数料等控除後1.65%)
- レスターホールディングス…利益3.56%(手数料等控除後3.37%)
いずれも11月8日の寄り付きで購入し、決算発表前にビビッて少し売って、決算発表後(15時以降の発表だったので翌日)の寄り付きで残りを売却しました。
比較用に日経平均株価も見ておくと、11月8日の始値27,718.84円から11月11日の始値27,868.69円までで+0.54%ですから、市場平均よりも高いパフォーマンスを出せたことになります。
ちなみに、今回は結果を分かりやすくしたかったので信用取引を使ったため、手数料やら金利やらがそこそこ発生しちゃっています。
もし現物で買う余力があるなら、日計り信用取引⇒現引(現渡)コンボを使えば手数料等をかなり抑えられるのでおすすめです。
調査対象とした半導体商社
半導体商社の業界に詳しいわけではないので、四季報の「比較会社」をたどりながら、関連が強そうな銘柄をピックアップしていきました。
といっても、「特色」に「半導体」と「商社」の文字があれば拾っただけです。半導体の文字がないエレクトロニクス商社は、企業サイトや開示資料を少し見て判断しました。そこそこピックアップできていたので、より確度の高いところだけに絞ってもよかったかもしれません。
コード | 銘柄 | 特色(四季報より引用) |
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8140 | リョーサン | 独立系半導体商社大手、ルネサス製車載半導体が主力。技術者に厚み。香港商社買収し中国拡販 |
2760 | 東京エレクトロン デバイス | 東京エレ系半導体商社。扱いは米国製が主。産業用に強み。製品開発、設計、製造のPB事業も |
7537 | 丸文 | エレクトロニクス商社。1844年創業。半導体、産業機器・医用機器、情報通信機器を扱う |
8084 | 菱電商事 | 三菱電機系商社で最大。FA、ビル昇降機・空調から半導体まで幅広い。非三菱電機系製品も拡充 |
3132 | マクニカホールディングス | 独立系の半導体商社としては国内トップ級。技術発掘力に強み。セキュリティ製品などを強化 |
7433 | 伯東 | 半導体や機器の専門商社。外国製も多く、開発営業に特色。工業薬品製造も併営。中国市場開拓 |
8141 | 新光商事 | 半導体商社。車載、産業向けルネサスエレ製品が主体。札幌に設計・開発拠点。遊技機部材も強い |
8150 | 三信電気 | 半導体商社大手。ルネサスと契約解消。ゲーム機向け強い。採算よいITインフラ構築、保守も |
8154 | 加賀電子 | 独立系総合エレクトロニクス商社。車載向け等EMS(製造受託)が成長。旧富士通エレ等買収 |
8159 | 立花エレテック | 電機、電子商社。三菱電機のFAシステム、ルネサスエレクトロニクスの半導体デバイスが主 |
3156 | レスターホールディングス | エレクトロニクス総合商社。19年UKCHDがバイテックHDと統合。21年にPALTEK買収 |
7467 | 萩原電気ホールディングス | 名古屋地盤の半導体等の電子部品・機器商社。自動車向けが約9割。FA機器等製造部門兼営 |
順番がぐちゃぐちゃな感じですが、直近の2Q決算発表の順番になっています。
時系列で傾向を確認してから出遅れ気味に売買
上記の銘柄の中でまず着目すべきは【8140】リョーサンでした。
10月25日の大引け後に業績予想の上方修正等を発表し、株価は翌日にギャップアップしています(参考:11月16日の終値は2,965円)。
次に見ておきたいのが【2760】東京エレクトロン デバイスで、こちらは10月28日(リョーサンの上方修正発表の3日後)に、2Q決算や業績予想の上方修正などを発表しました。
リョーサンの発表翌日の10月26日には株価が少し反応しただけでしたが、自社の発表翌営業日(10月31日)には株価がギャップアップしています(参考:11月16日の終値は7,000円)。
つまり、リョーサンの好業績を見てからでも、東京エレクトロン デバイスを買って決算跨ぎをしていれば利益を出せていたことになります。
とはいえ、ほかの銘柄も確認しておきましょう。
東京エレクトロン デバイスと同日に業績予想の上方修正を発表した【7532】丸文は、寄り付きこそそこまで高くありませんが、しっかり上がっています(参考:11月16日の終値は904円)。
また、10月31日に2Q決算や業績予想の上方修正を発表した【3132】マクニカホールディングスも、この日までにリョーサンや東京エレクトロン デバイスの発表があったにもかかわらず株価は落ち着いており、発表当日にようやくそわそわし始めて、発表翌日に急騰しています(参考:11月16日の終値は3,430円)。
順調な例ばかり挙げておくのもアレなので上手くいかなかったパターンも出しておきます。
10月31日に2Q決算や業績予想の上方修正などを発表した【7433】伯東は、発表翌日に株価がギャップダウンしています(参考:11月16日の終値は3,555円)。
10月31日の発表前の段階で株価がだいぶ上昇してしまっていたことや、日足で見ても株価が上昇していたことなどを踏まえると、「噂で買って事実で売れ」を体現した形になったのかなと思います。
…といったことを認識したのが11月6日だったので、ここからできるのは、まだ決算や業績予想の上方修正を出していない半導体商社の株を買うことです。
そこで最初に目を付けたのは【8150】三信電気(決算発表は11月7日)でした。
しかしチャートを見てみると、10月31日からだいぶ上げてしまっています。
これは伯東と同じパターンになるかもという懸念があり、様子を見ることにしました。
そして迎えた11月8日、上方修正等を受けて株価はギャップアップしました。ここからでもまだ上がるようです(参考:11月16日の終値は2,182円)。
ならば、決算発表を済ませていない半導体商社の株を買うしかない! ということで立花エレテックとレスターホールディングスを買いました。どちらも三信電気と同様に、10月31日以降は株価が上昇していましたが、結果は冒頭に書いた通りです。
立花エレテック
(参考:11月16日の終値は1,737円)
レスターホールディングス
(参考:11月16日の終値は2,171円)
最後に
今回は「業績好調→業績予想の上方修正→株価上昇」という流れが半導体商社に共通して見られたことから、買いで入って利益を得ることができました。ただ、別に必ずしも株価が上がってくれなくてもよくて、例えば業績悪化が露呈して株価が下がるようなら、空売りで入ることも可能です。
また、今回は上手くいったものの、伯東のように決算発表前に上げて発表後に落ちるケースもあるため、発表前に上げている場合は一部を利確しておくものいいと思います。
次の決算シーズンまでには、半導体商社以外にも同様の売買ができる銘柄群をみつけておきたいところです。