公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2018年10~12月の運用実績が過去最大の赤字(14兆8039億円、マイナス9.06%)だったことが分かりました。
数日前にけっこう話題になっていたので、すでに知っている方は多いかと思います。
GPIFの運用実績は市場運用開始後で見れば余裕のプラスであることは重々承知していますが、損を出すたびに世間で騒がれるのもまた事実です。
何かの拍子に基本ポートフォリオを見直し…なんてことになったら、おそらく株式比率は下げられてしまうでしょう。
そうなるとGPIFの売りを見越した売りが入り、株価は悲惨なことになるに違いありません。
だからこそ株式比率を下げるような見直しが行われる可能性は極めて低いと思っていますが、そんな事態を想定した対策を検討しておいても損はないでしょう。
GPIFの基本ポートフォリオ
2014年10月以降のGPIFの基本ポートフォリオは以下のようになっています。
国内株式25%というのは知っていましたが、乖離許容幅が±9%もあるんですね。
現行ルールの範囲内でも16%までは減ってもいいことになります。
さて、2018年12月末時点での実際の構成割合はどうなっているかというと、国内株式は23.72%となっています。
2018年9月末時点では25.65%でしたが、株価の下落によって構成割合が低下したのでしょう。
GPIFが株式比率を下げることになった場合の対策
もしもGPIFが株式比率を下げることになったら、国内株式が売られるのを見越した投資家が続々と売ってくるでしょう。現物にしても信用にしても。
ですので、そうなった時の対策としてまず浮かぶのは「売る」ことです。
現物を売ってほとぼりが冷めたら買い戻してもいいですし、現物を持っておきたければ指数連動型のETFやGPIFが保有している銘柄を空売りしてもいいと思います。
先物やオプション取引を利用しても良いでしょう。
私の資産運用のメインは配当金目当ての国内株式投資ですから、株価が下がっても平気と言えば平気です。
それに現物を売ってしまっては配当金が貰えませんので、現物売という選択肢はありません。
しかし評価額が下がっていくのをただ見ているのは嫌ですから、これだけ分かりやすい出来事が起こったら空売りを仕掛けるつもりでいます。
じっくり考える余裕があったらGPIFの保有銘柄を適当な比率で空売りしますが、急ぎだったら【1357】日経ダブルインバース上場投信(日経平均の騰落率の-2倍の値動きを目指すETF)を買うと思います。
GPIFの保有銘柄 時価総額上位20社
GPIFの保有銘柄は、公式サイトの新着情報ページで「保有全銘柄について」等のキーワードで検索をかけるExcelファイルが見つかります。
当記事執筆時点での最新データは2018年3月末時点のものと思われます。
このExcelファイルを見れば債券から株式まですべての保有銘柄を確認することができます。
ここではGPIF保有銘柄のうち、国内株式の時価総額上位20社を載せておきます。
証券コード | 銘柄名 | 所有割合(※) |
---|---|---|
7203 | トヨタ自動車 | 6.1% |
8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 8.1% |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 9.4% |
9432 | 日本電信電話 | 6.1% |
7267 | 本田技研工業 | 8.8% |
9984 | ソフトバンクグループ | 6.0% |
6861 | キーエンス | 6.4% |
6758 | ソニー | 7.8% |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 9.0% |
9433 | KDDI | 6.0% |
7974 | 任天堂 | 5.6% |
6954 | ファナック | 6.7% |
9437 | NTTドコモ | 3.3% |
7751 | キヤノン | 6.5% |
6501 | 日立製作所 | 8.9% |
8058 | 三菱商事 | 7.0% |
9020 | 東日本旅客鉄道 | 8.6% |
4063 | 信越化学工業 | 6.8% |
3382 | セブン&アイ・ホールディングス | 7.7% |
2914 | 日本たばこ産業 | 5.1% |
※所有割合とは、各銘柄の発行済株式総数に対するGPIF所有株式数の割合です。
所有割合が高い銘柄ほど、GPIFが売り始めた時の影響を大きく受けると考えられます。
最後に
GPIFが株式比率を下げる可能性は実際のところかなり低いでしょう。
少なくとも安倍政権のうちはまず大丈夫だと思っています。
それでも「株式比率を下げるかも」となった段階ですぐに行動に移せるように思考を整理しておけば、万が一の時には損を減らしたり利益を増やしたりできるはずです。
うっかり政権交代なんかが起こって、首相や大臣がポロっと意味深なことを言ったらすぐに市場は反応しそうですからね…。