株式投資について調べているとほぼ間違いなく目にするであろう「インデックス投資」。
調べれば調べるほど強いのですが、その理由は簡単に言うと「世界経済が成長し続けているから」です。
しかし、漠然と分かったようなつもりでいるだけでは損をしてしまう確率が高まります。
インデックス投資をするなら、どうしてインデックス投資が勝てるのか、その仕組みをよく理解しておきましょう。
インデックス投資とは?
インデックス投資とは、対象とするインデックス(指数)との連動を目指す投資法です。
インデックスの例を挙げると、
- 日経平均株価(株価)
- NYダウ平均株価(株価)
- 東証REIT指数(REIT)
- NOMURA-BPI(債券)
- ロイター・ジェフリーズCRB指数(コモディティ)
などがあります。
これらの指数の動きに連動するように投資していくことをインデックス投資と呼びます。
指数が投資開始時点よりも上昇すれば資産の含み益が増加し、逆に指数が下落すれば資産は含み損を抱えます。
ただし、これらの指数に連動するようにポートフォリオを形成するのは個人レベルだと資金的に難しいです。
ですのでインデックス投資を行う際は、これらの指数に連動するよう作られた投資信託やETFを購入していくことになります。
インデックス投資が勝てる理由
インデックス投資がなぜそんなにも強いのか。
それは、世界経済が成長し続けているからにほかなりません。
世界経済は成長を続けている
下のグラフは世界の実質GDPの推移を表したものです。
ちょっと古い資料なので2010年以降が予測値となっていますが、重要なのは長期的に見て右肩上がりで伸びているということです。
2009年の下落はリーマン・ショックの影響でしょう。しかしそれも数年で回復しています。
なお、世界経済のネタ帳で確認したところ直近のGDPは79,865(単位:10億ドル)となっていました(※値は名目GDPかもしれませんが、ここでの趣旨に影響はないと思われます)。
GDP:国内総生産言い方は色々とありますが、簡単に言うと「国内で一定期間に生み出された付加価値の総額」です。
また、日本では人口が減少傾向にありますが、世界的に見れば人口はまだまだ増加中です。
人口が増えるだけで消費が増える(必要な物も増える)わけですから、それだけでも世界的な経済成長には追い風となっています。
経済成長こそがインデックス投資の成果をもたらす
なぜ経済が成長するとインデックス投資の世界につながり、私たちの資産は増えるのでしょうか。
ここでは株価を例にして順番に考えていきましょう。
以下の「⇒」は「ならば」に読み替えてください。
世界経済が成長している ⇒ 世界のGDPが増加している
経済成長は一般にGDPの増加具合で判断するものですので、世界経済の成長は世界のGDPの増加を意味します。
GDPが増加している ⇒ 企業が生み出す価値が増えている
GDPが増えたということは、企業が生み出す価値(商品やサービスの提供によって生まれる利益みたいなもの)も増えているということになります。
1社ずつを見れば、前年よりも価値を生み出した企業もあれば倒産してしまった企業もあります。
しかし、全企業の合計で考えた時にはプラスになっているということです。
企業が生み出す価値が増えている ⇒ 企業の利益が増えている
企業が生み出す価値が増えれば基本的には企業の利益も増えます。
1社だけで見ると微妙でも、世界中の企業の合計で考えればそういうことになります。
企業の利益が増えている ⇒ 株価が上昇する
利益が増えているなら株価も上がりますよね。
もちろん、個別に見れば利益が増える会社もあれば減る会社もありますから、株価が上がる会社もあれば下がる会社もあります。
しかし全体で見れば上がる方が強いです。
株価が上昇する ⇒ 株価指数が上昇する
全体でみると株価が上昇するので株価指数も上昇します。
株価指数が上昇する ⇒ 資産が増加する
あとは言うまでもありませんね。
指数が上昇すれば、その指数を対象としてインデックス投資をしている人の資産も増加します。
1社だけに投資をするのではなく、多数の会社にまとめて投資したような形になっているのがポイントです。
そしてこれが、経済成長がインデックス投資の成果につながる理由です。
先ほど説明したように世界経済は成長を続けているわけですから、インデックス投資をしていれば勝てるのです。
成長し続ける経済から株価上昇等の形でおこぼれを受け取る、これがインデックス投資です。
勝てるはずのインデックス投資でなぜ負けるのか
一時的な下落に狼狽して売却してしまうから
株価にしても何にしても、一本調子で右肩上がりというわけではありません。
長期的には上昇していきますが、それでも日々の上げ下げがありますし、数年に一度は○○ショックやら○○危機といったものに見舞われます。
株価は長期的に見れば上昇していく(経済は長期的に見れば成長していく)という部分を理解できていないと、一時的な下落に狼狽して投資信託等を売却するという愚行に走ってしまいます。
そういった時はたいてい含み損を抱えているタイミングですから、売却により損失が確定し、負けたことになります。
これを防ぐには、
- 長期保有が大前提ということをよく理解する
- 多少の下落があってもビビらない程度の投資金額にしておく
といった対策が必要です。
まぁ、大丈夫だと思っていた投資金額でも、急落するとけっこうビビるんですけどね。
対象としたインデックスが悪かったから
インデックスにも種類があり、資産の伸び具合は対象としたインデックスによって大きく左右されます。
たいていは株価指数を対象としますが、国によっても株価の伸び方は異なります。
例えば日経平均とNYダウのパフォーマンスを見比べると、直近10年ではNYダウに軍配が上がります。
つまり、日経平均を対象としてインデックス投資を行うよりも、NYダウを対象としてインデックス投資をしていた方が資産が増えたということになります。
株価を対象としていれば、長期的に見てマイナスになることはそうそうないでしょう。
しかし、日本の経済政策はお世辞にも上手くいっているとは言い難いのが現状です。
今後どうなっていくかは分かりませんが、
- 日本株のインデックスだけに偏らせない
- 米国株の割合を上げる
- 株、債券、不動産等、様々なものを投資対象に含めたインデックス投資を行う
といった方法で投資対象の分散をしておいた方が負ける確率は低くなります。
時間的な分散ができていなかったから
株価の推移を見ても分かるように、長期的には上がっていくとしても、時には急落もあります。
急落の直前に投資資金をすべて突っ込んでしまっていた場合、そこから回復して含み益になるまでに長い時間がかかります。
そしてこの場合、高確率で「一時的な下落に狼狽して売却してしまう」が発動して負けてしまいます。
それを防ぐためには、毎月少しずつ積み立てる形で投資をしていくのが良いです。
長期的には上昇していくと分かっていても、短期的に上がるのか下がるのかまでは分かりません。
ですから、例えば毎月数万円などと決めておいて、定期的に積み立て投資をしていくのが賢明です。
投資資産の増加ペースが緩やかになるので精神的にも慣れていきやすいです(一気に大金を突っ込むと精神的に落ち着きません)。
インデックス投資を始める理由は何ですか?
インデックス投資を堅実に続けていけば資産は増やせます。
しかし、それは「生活が豊かになること」とイコールではありません。
生活が豊かになる(≒物やサービスを今まで以上に買える)のは増えた資産を現金化(売却)した後だからです。
増えていく数字を見ていても生活は豊かにならないのです。
長期的に見れば資産が増えるインデックス投資ですが、もし「毎年着実にキャッシュフローが欲しい」と思っているのであれば、配当金狙いの投資をした方がいいかもしれません。ただし、一般的に配当金投資の利回りはインデックス投資の利回りに劣ります。
いずれにしても、「どういったことを目的に投資を始めるのか」は非常に重要です。
- 数十年後の資産を増やしたいのか
- 毎年のキャッシュフローを良くしたいのか
- その他…
少なくとも短期的な利益を狙うにはインデックス投資は向いていません。
そこを履き違えたままインデックス投資を始めてしまうと、勝てるはずのインデックス投資で負けた人たちの仲間入りになる可能性が大幅に高まってしまいます。
インデックス投資を始める理由(始めようと思った理由)は何だったのか、よく考えてみてください。
ちなみに私はロボアドバイザーのウェルスナビを使ってインデックス投資に近いことをしています。
始めた当初に損失こそ出したものの、その後は着実に良くなってきている印象です。
参考1:【毎月更新】ウェルスナビの運用実績