楽天は国内外において、Eコマースを中核にインターネットサービスやFinTech(金融)サービス、プロスポーツなどの分野でサービスを提供している企業です。
三木谷社長が株価について「実力が反映されていない」と述べるくらいには低迷気味な楽天ですが、最近は盛り返してきているようです。
値上がり益を狙って買うには面白そうなタイミングに見えますが果たして…。
業績・年間配当・配当性向の推移
期 | 売上高 (億円) |
営業利益 (億円) |
年間配当 (円/株) |
配当性向 |
---|---|---|---|---|
’08/12 | 2,498 | 566 | 1 | ― |
’09/12 | 2,498 | 471 | 1 | 2.4% |
’10/12 | 3,461 | 637 | 2 | 7.5% |
’11/12 | 3,799 | 713 | 2.5 | ― |
’12/12 | 4,004 | 500 | 3 | 19.2% |
’13/12 | 5,185 | 902 | 4 | 12.3% |
’14/12 | 5,985 | 1,063 | 4.5 | 8.4% |
’15/12 | 7,135 | 946 | 4.5 | 13.9% |
’16/12 | 7,819 | 785 | 4.5 | 16.7% |
’17/12 | 9,444 | 1,493 | 4.5 | 5.6% |
’18/12 | 11,014 | 1,704 | 4.5 | 4.3% |
’19/12 (予) |
― | ― | ― | ― |
業績予想については短信に「二桁成長を目指します」と書かれているものの、具体的な数字は公表されていません。
ここ10年ほどの業績を見ると、売上高は順調に伸びてきています。
これは楽天自体が成長しているということもありますが、多数の企業を買収してきたことも大きく影響しています。
楽天は2008年以降でも20社以上を買収しているようですね。
参考:楽天による買収の歴史(Stockclip)
営業利益もデコボコしてはいますが伸びてきています。
一方、配当金は減配こそないものの低い水準を保っています。
利益が不安定なので低めに抑えておきたい、キャッシュは買収その他に使いたいという思いがあるのでしょうか。
あるいはそろそろ増配があると考えることもできます。
直近の決算(2018年12月期末)
数字を見る限りでは好調に思えます。売上高は1兆円の大台を突破しました。
インターネットサービスセグメントは売上こそ2桁成長となったものの、販促活動費が膨らんだことで利益は5%の減少となっています。
FinTechセグメントは楽天カードの会員基盤の拡大により売上23.3%増、利益も9.7%増となっています。
西日本豪雨などの影響で保険金支払が膨らみ楽天損保こそマイナスとなっていますが、他は楽天カードを中心に好調のようです。
詳細な数字は補足資料(Excelファイル)から見ることができます。
さらに内訳を見ていくと、インターネットサービスの方は国内ECが軟調、コミュニケーション&スポーツは営業赤字が続いていますが、その他インターネットサービスは好調だったようです。
コミュニケーション&スポーツはメッセージング及び通信サービス事業、プロ野球球団の運営等を行う事業により構成されているそうですが、その内訳の数字までは分かりませんでした。その他インターネットサービスには、楽天ブックスやラ・クーポンなどが含まれるようです。
キャッシュフローも問題ないように思えますが、金融事業を展開している上に借入金の規模もそれなりなので油断はできなさそうです。
株主還元について
株主還元については、公式サイトに以下のような記述があります。
株主還元については、中長期的な成長に向けた投資や、財務基盤の安定化のための内部留保の充実を勘案しつつ、安定的・継続的に配当を行うよう努めていきます。必要となる株主資本の水準については、以下の考え方を基本としています。
- 拡大する事業機会を迅速かつ確実に捉えるために必要な財務基盤を整えておくこと
- 事業活動及び資産のリスクと比較して充分であること
- 安定的な資金調達を行う上で必要な格付けを維持すること及び監督規制上求められる水準を充足していること
具体的な数字が何一つないため、実際のところどう考えているのかはよく分かりません。
いっそ無配の方がすがすがしい気もしますが、今さら無配にするのもアレでしょうし、仕方がないとも言えそうです。
配当の権利日と支払日
楽天の権利確定日は12月末の年1回です。
目先では、 2019年12月26日が権利付最終日(その日に株を持っていれば権利が貰える日)となります。
配当金の支払いは例年、3月末ごろとなっているようです。
株主優待
楽天は株主優待を実施しています。
自社サービスに関する内容が中心ですので、楽天のサービスを普段から利用している人には嬉しい内容なのではないでしょうか。
自己株式の取得
2017年には発行済み株式数(自社株除く)の6%弱に相当する規模の自社株買いを行っています。
現状の株価に不満を抱く三木谷社長が株価対策をするなら、業績好調なこのタイミング(2月の決算発表辺り)で自社株買いを発表してもおかしくはなさそうですが…それが分かれば苦労しませんね。
楽天経済圏について
楽天ポイントが通貨のような働きをすることで、ユーザーが楽天の各種サービス内で相当な規模の経済活動を行えるようになってきています。
旅行や買い物で貯まったポイントを再び買い物や投資信託の購入に使ったり、楽天のサービスを利用すればするほどポイントの還元率が高まったり…
悪く言えば、楽天エコシステム(経済圏)の虜になったユーザーがなかなか抜け出せないような環境を構築しているのです。
私はAmazon派ですけど、楽天経済圏という言葉はTwitterでもよく見かけるようになってきましたし、なかなかにすごい気がします。
株価の推移
2015年4月に2,395円を記録した株価はその後下落を続け、2018年6月には700円にまで下がりました。
しかし、11月にKDDIとの業務提携が発表されてからは株価が上昇に転じ、株価は900円を超えてきています。
ここまでずるずると株価が下落してきた理由としては、
- 米国の投資銀行メリルリンチが空売りを積み上げている(1800万株規模)
- 海外の大口投資家が現物売している?
- 投資事業が不安?
- 通信事業が不安?
などを見かけました。
メリルリンチの空売り残が大きいのは事実ですが、これは買い戻しが始まれば株価上昇の圧力にもなります。
今後の見通し
明記されているわけではありませんが、楽天経済圏を大きくしていき、利益率の高いFinTechセグメント(カード、銀行、保険等)の方で利益を出していこうとしているような気がします。
そしてそれらを加速させるために楽天キャピタルでの投資活動も積極的に進めているのではないでしょうか。
「Vision2020」という中期経営計画を2016年に開示したようなのですが見つけられませんでした。そこにはもう少し具体的な数字が載っているのかもしれません。
また、11月には楽天とKDDIが業務提携するとの発表がありました。
楽天の携帯電話市場への参入は、投資資金や借入金の規模からして苦しいと言われている一方で、これは国策であるとも言われています。
参考:KDDIが楽天に有利すぎる提携決めた事情(PRESIDENT Online)
楽天のLTE通信サービスは2019年10月からの開始が予定されています。
売買の履歴
約定日 | 売買 | 取得単価 | 保有株数 |
---|---|---|---|
18/12/3 | 買 | 925円 | 200 |
18/12/14 | 売 | 851円 | 0 |
私は配当金狙いで日本株を買っているので通常であれば楽天は対象外なのですが…何となく行ける気がしたので買いました。
購入した理由はこちらの記事に書いています。
(追記)
結局、損切りして全部売ってしまいました。
やっぱり配当がないと精神的にダメみたいです。