紳士服で有名な青山商事。
2015年に中期経営計画「CHALLENGE 2017」と合わせて公表された株主還元方針で連結総還元性向130%を表明し、それを受けて株価は急上昇しました。
その中期計画は2017年までのものでしたので、2018年に入ってからは新たな中期経営計画「CHALLENGE Ⅱ 2020」が策定されました。
そこでは連結総還元性向100%が掲げられ、さすがに130%ではないものの、引き続き積極的に株主還元を行っていく姿勢が見受けられます。
しかし、スタートトゥデイが手掛ける衣料品ネット通販「ZOZOTOWN」にて、7月3日からフルオーダースーツの販売が始まるとのことです。
直近での下落はこれを見越していたのでしょうか。迂闊に手が出せなくなりました。
業績・年間配当・配当性向の推移
期 | 売上高 (億円) |
営業利益 (億円) |
年間配当 (円/株) |
配当性向 |
---|---|---|---|---|
’10/3 | 1,946 | 147 | 40 | 45.4% |
’11/3 | 1,932 | 135 | 40 | 90.6% |
’12/3 | 2,000 | 182 | 40 | 27.9% |
’13/3 | 2,124 | 212 | 60 | 29.3% |
’14/3 | 2,221 | 225 | 90 | 41.9% |
’15/3 | 2,217 | 190 | 75 | 33.9% |
’16/3 | 2,402 | 213 | 155 | 71.1% |
’17/3 | 2,527 | 202 | 165 | 75.0% |
’18/3 | 2,548 | 205 | 170 | 75.6% |
’19/3 (予) |
2,527 | 150 | 100 | ― |
ここ10年弱の間、売上は上昇傾向にあり、利益も微増している状況です。
リーマンショックのころも赤字にはなっておらずタフな印象があります。
配当については前述の通り、’16/3からは大幅に上昇しています。今後3年間も配当性向は70%付近で推移するはずです。
なお、自己資本比率は60%弱、流動比率は300%弱で財務面は盤石です。
ただし、11月に業績予想及び配当金の下方修正がありました。
株主還元について
連結総還元性向を100%目途にして株主還元を行っていくそうです。
要するに、当期利益すべてを配当および自己株式取得に充てていくということです。
配当性向は変わらないものの、自己株式取得の規模が小さくなる可能性が高いので、その辺りが株価に織り込まれているのかは気になるところです。
ちなみに、2018年3月期末時点で青山商事には現預金が594億円あります。
直近の年間配当額が85億円程度ですので、130%の還元を3年間行ってきたとはいえ、まだまだ余力はたっぷりとあります。
’19/3予想について
来期(’19/3)の業績予想は増収減益となっています。
各事業において様々な施策を実施することで連結売上高は増加する見込みですが、連結営業利益については中核事業でありますビジネスウェア事業において新人事制度を開始するにあたり、人件費が大きく膨らむことなどから、減益を見込んでおります。
膨らんだ人件費が今後も継続するのか、それとも一過性のものなのか気になります。
(追記)
11月に業績予想の下方修正があり、減収減益予想となってしまいました。
青山商事は配当狙いの投資に向いているのか
配当性向が高いとはいえ、配当金は普通配当と業績連動配当に分かれています。
今後も最低限、安定配当分(普通配当)の年間100円はキープされると考えて良いと思います。
問題はうっかり業績が悪化してしまった場合ですが、適当な株価で利回りを試算してみました。
配当額 | 株価 4,000円 |
株価 3,300円 |
株価 3,000円 |
|
---|---|---|---|---|
普通配当 部分のみ |
100円 | 2.50% | 3.03% | 3.33% |
来期予想 | 160円 | 4.00% | 4.75% | 5.33% |
普通配当部分のみになった場合を見ると少し考えやすいかもしれません。
このまま順調に経営&株主還元をしてくれるのであれば、少しくらいなら保有していてもいいのではと思います。
ただ、3年後には新たな中期計画の発表があるでしょう。
そこで株主還元部分が弱まって発表されると、配当が減る上に株価も下がってダブルパンチを食らいそうです。
(追記)
11月の下方修正発表に伴い、減配も発表されました(普通配当部分のみに…)。
売買の履歴
まだありません。